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2018年9月17日 (月)

「ザ・プレデター」 矮小化されていくプレデター

「プレデター」シリーズというのは、もともとB級の映画ではあるのですが、今回のはB級にすら到達していなかったような。
オリジナルの「プレデター」も映画としては、少々乱暴なつくりなのですよね。
前半は「エイリアン」的な未知の生物に襲われ追い込まれていくサスペンス感があり、後半はシュワルツェネッガーらしい「コマンドー」なテイスト。
当たった映画のエッセンスをくっ付けたようで、前半、後半でややトーンが変わっているところが乱暴な感じを受けるところなのですが、プレデターというキャラクターの唯一無二なオリジナリティが雑さを補って余りあるのですよね。
荒っぽいつくりなところがB級映画らしい所以で、だからこそ愛すべき作品になっていると思います。
実際初めて見たときはそれほどぐっとこなかったのですが、何度も観て好きになっちゃったんですよね。
「プレデター2」はシリーズの中では一番好きな作品なのですが、それはこれが一番ストーリーとしてはしっかりとしているから。
人間がプレデターに狩られるというエッセンスは保ったままで、プレデターとは何なのか?という謎に迫ろうとしているのがこの2作目です。
一作目はそもそもシリーズ化しようなどという意図はなかったでしょうからプレデターという存在にはほとんど説明はありません。
獰猛でありながら、知恵とテクノロジーを持った狩猟者。
そこだけ。
しかし、「プレデター2」によってプレデターの設定がしっかりと成された。
それがその後のシリーズ展開に繋がっていきます。
しかし、その後のシリーズは卓越したものはなかったように思います。
「エイリアンVSプレデター」の2作品は映画のシチュエーションとしては驚きましたし楽しめましたが、それだけと言えば、それだけ。
どちらかと言えば、イベントムービーのような趣だったと思います。
「プレデターズ」は観た時は楽しんだと思うのですが、何年か経つとさっぱりストーリーが思い出せない。
あまり印象的な作品ではなかったようです。
さて本作「ザ・プレデター」ですが、観ている時から新しさは感じなかったですね。
アクションはそれなり、キャラクターもそれなりでこれといった惹きつけられるポイントがありませんでした。
「AVP」的なイベント感もありませんでしたし。
たぶんストーリーと設定がいけなかったのではないでしょうか。
戦うために進化していくという設定は、どこかで既視感があります。
プレデターのライバルのエイリアンがそうなのですよね。
あちらも人間の遺伝子を取り込んだハイブリッドが登場しています。
あちらにも通じることなのですが、人間の遺伝子を取り込んで最強になるなんて、人間が一番と思っている思想なのではと思ったりもします。
人間など歯牙にも掛けないモノだからこそ、恐ろしいわけなのですよね。
人間と通じるところが出てくると急に矮小化してしまう。
いくら3メーターのプレデターといっても倒せそうな気がしちゃうわけです。
最初のプレデターは絶対倒せなさそうでしたもん(あれはシュワルツェネッガーだから倒せた!)。
そういう圧倒的な感じがなくなってしまったから、このシリーズはだんだんとこじんまりとしてきたのではないでしょうか。
人間がおよびもつかない存在であるということがやはり緊張感を生み出す。
そう言えば「ゴジラ」もそうでしたね。

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