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2018年8月25日 (土)

「カメラを止めるな!」 観るのを止めるな!

学生時代は映画サークルで映画を撮っていました。
素人にありがちな思いの丈を盛り込んだアートっぽい作品ではなく、あくまでエンターテイメント。
カーアクションに憧れたけれど、そんなものはできるわけないので、校内でのチャリでのチェイスシーン。
「インディ・ジョーンズ」みたいに車にロープに引きづられるシーンが撮りたかったので、代わりにリヤカーを引いた。
もちろんゾンビもやった。
今思えば、ストーリーなどお構いなしで、やりたいシーンを繋いだだけの思いだけはある作品なのだが、作っているときは何かハイテンションだった。

話題となっている「カメラを止めるな!」を観てきた。
随分遅くなってしまったが、割と大きな箱だったけれど、ほぼ満員だった。
こんなにこの映画を観ようとする人が多いなんて、ちょっと驚き。
無名の監督、無名の役者が出てくるゾンビムービー、あっと驚く仕掛けがあって、かなり楽しめるという。
とはいえ、学生の作ったようなゾンビ映画を見せられてもなーという感覚もあり、躊躇していた。
あまり自主映画っぽい作品を見ていない人には新鮮なのかもね、くらいの感覚でいた。
蓋を開けたら、驚いた。
面白いじゃん!
蓋を開けたら、は正確ではないか。
全編1カット長回しは凄いけど、お話は素人がやりそうなゾンビ映画だよね。
明らかに何か繋いでいると思われるグダグダした役者同士の会話。
思わずカメラ目線になってしまった監督の役者。
途中から急に荒っぽくなるブレブレのカメラ。
何か準備しているんだろうと感じさせる不自然に長い悲鳴。
自分もそういうことやってたからカメラの脇で起こっていることが想像できて、すごく素人っぽいゾンビ映画だな。
そんな風に思ってた。
なので、この辺まではちょっとイライラしていた。
こんなもので金取りやがって、と。

しかし、後半からそれが驚きに変わった。
なんともここからは書きにくい。
この作品はネタバレ厳禁。
ネタを書かずに、良さを伝えるのはなんとも難しい。
しかし、一つだけ書いておくと、先ほど書いたような素人っぽいグダグダさは、すべて計算づくだったということ。
気になったところすべてが計算されていたということに気づいたときの驚き。
まさにアイデアの勝利、構成の妙。
特に学生映画をやっていて、そして仕事でも映像に関わっているものとしては非常に共感できる状況の連続でなおさら気持ちが入り込んでしまった。
最後には一つの目標に突き進んでいく者たちの達成感にまで持っていく。
いやいや、凄いものを見てしまった。
感覚的には初期のナイトシャマランの作品の匂いも感じたりして(一気に見ていたものの印象がひっくり返る感覚)。
ほんと見事。

漫画原作、青春もの、ドラマの映画化・・・、日本映画がステレオタイプになってきているという印象があったけれども、こういうのが出てくるとまだまだいけると思ったりする。

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コメント

こんにちは。
今年に入ってから何故かココログさんにTBが飛ばなくなってしまい(でもココログさんからのTBは受け付ける不思議なエキブロ)、だいぶご無沙汰してしまった感があるのですが、コメント付けさせてください。
この作品、巷の評判どおりの面白さでした。私は大手シネコンが公開してから観に行ったクチなので遅めの鑑賞だったのですけれど、それでもまだ場内では終映後に拍手が起こる位!劇場友とも゛も盛り上がる作品だと思いました。

投稿: ここなつ | 2018年8月28日 (火) 12時47分

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