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2018年8月10日 (金)

「未来のミライ」 小さいけど大きなの積み重ね

ネットでのレビューはあまり華々しい結果ではないですが、個人的には共感度が高い作品でした。
細田監督の前作「バケモノの子」が公開された時は私には子供がいなかったのですが、現在はイヤイヤ期真っ盛りの2歳児がうちにはいるので、クンちゃんのお母さんとお父さんの奮闘ぶりに思わず「あるある」と頷いてしまったわけです。
クンちゃんのパパが言った「子供って、昨日までできなかったことが、突然できるようになるんだな」というセリフはまさにその通りで、そういう何気ない、けど大きな子供の成長に日々驚いていて、それが子育てのだいご味であると感じている毎日です。
苦労は絶えないのですけれど(クンちゃんのパパのように、ママにいつも怒られています・・・)。
おそらくほとんどの親は子供が成長していく過程で、大変さや驚きや喜びを感じているわけで、そういった方にとって本作は感情移入しやすい作品になっていると思います。
そういう意味でこの作品は今までの細田作品以上にターゲットが絞り込まれている作品で、
共感しやすいのは現役の子育て世代、もしくは子供たちが巣立ってしまった世代ではないかと思います。
今までの細田作品は家族や親子を中心テーマにしつつも、作品としてはスケールの大きなエンターテイメント作品となっています。
「サマーウォーズ」にしても「バケモノの子」にしても、後半は世界を守るための戦いになっていて、エンディングにはカタルシスもあり、単純に誰でも楽しめる作品です。
そのため世代を選ばず、作品も良質であったため、総合的に作品への評価が高かったと考えられます。
それに対して先に書いたように「未来のミライ」のターゲットは今までの作品に比べて狭いので、誰でも同じように共感できる作品ではありません(特に子育ての経験がない方にとってはとても退屈かもしれません)。
本作はタイムリープといったギミックは入っているものの、大きなうねりがある大がかりストーリー展開ではなく、日常的なエピソードの積み重ねが描かれています。
ですので、今までの細田作品のようなカタルシスを期待した方にとっては期待外れに見えるかもしれません。
ただし、ある意味それは挑戦的であると言えるでしょう。
細田監督作品は共通して、監督個人の個人的な経験を元にして、家族をテーマにストーリーを紡いでいます。
彼の個人的経験から感じたことを誰でも楽しめるエンターテイメント作品として仕立て直していたのが今までの作品です。
だからこそエンターテイメントでありながらもエモーショナルな作品になっていたのでしょう。
しかし、本作のテーマは、子供が日々成長していくことへの感動、そしてそれは時代を問わず連綿と人が生きている中で繰り返されているということであると感じます。
ほんとに小さな営みなのですが、そういうミクロで些細な出来事に大きな感動があるということが言いたかったのではないでしょうか。
ですので、あえてあえてカタルシス感のある強いストーリーラインではなく、エピソードを積み重ねていく展開を採用したのではと思いました。
なかなか一般的に受け入れられにくいかもしれませんが、個人的には感じ入るところがたくさんあった作品でした。

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