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2018年3月21日 (水)

「ブラックパンサー」 手の届く範囲

久しぶりに単体ヒーローでシンプルな作品を観れたなという感じがしました。
たくさんヒーローが出てくる「アベンジャーズ」のようなタイプの映画も楽しいですが、本作のように一人のヒーローの活躍をじっくり見れる作品も良いですね。
ブラックパンサー(ティ・チャラ)は「シビル・ウォー」でマーベル・シネマティック・ユニバースには初登場していますが、主人公となるのは初めて。
本作では彼が父の後を継ぎ、ブラックパンサーとなる過程を描いています。
彼はワカンダ王国の国王としてなるべく育てられた、それにより高潔な精神性と強い肉体を持った男です。
まさにヒーローになるべくしてなる人物で、それがかえって現在のヒーロームービー花盛りの時代においては珍しく見えるかもしれません。
最近のヒーローはヒーローになる、もしくはなってしまったことに葛藤するというタイプが多かったですから。
高潔な精神性と様々なテクノロジーを駆使する財力を持っているという点は、キャプテン・アメリカとアイアンマンを足しているようなイメージでもありますね。
ある意味、ヒーローとしては完璧であった彼ですが、その彼にも課題がなかったわけではありません。
彼は彼の葛藤があり、それが本作のドラマとなります。
彼が守ろうとしているのは、彼の祖国ワカンダのみでした。
彼の一族は人間というものの危険性を知っており、それらから自分たちを守るためにだけ卓越したテクノロジーを使ってきました。
そのためワカンダ王国は長年に渡り、平和な生活を維持できたわけですが、知っての通り外界は戦争や貧困など様々な問題が続いています。
人々を守るために存在するという意識はブラックパンサーは高い。
しかし、その「人々」とは誰なのか。
ワカンダ王国の人々だけで良いのか。
外界には苦しんでいる人々がいるのに。
それらを救う力を持っているのに、救わないのか、と。
ブラックパンサーはその視野を問われるのですね。
最近のスーパーヒーロー映画はヒーローの内面の葛藤を描くことが常道となっていますが、その切り口としては今までと異なる葛藤であったと思います。
自分の手(力)が及ぶ範囲をどこまで広げて戦うのか。
もちろん、その範囲を広げれば広げるほど困難な戦いになることはわかっている。
それでもやろうとする気持ちがヒーローらしいと思います。
次回のマーベル映画は「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」でそちらにもブラックパンサーは出演します。
戦いの相手は宇宙最大のビラン、サノス。
一気に宇宙規模の戦いになります。
その時にブラックパンサーは何を考えるのか。
自分が守ろうとする人々をワカンダから地球へ、そして宇宙へと広げることができるのか。
そういった視点でも「アベンジャーズ」の次回作を見てみようと思います。

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