「エイリアン:コヴェナント」 ミッシング・リンク
<ネタバレ含みますので、ご注意です>
前作「プロメテウス」は「エイリアン」シリーズの前日譚として、様々な謎が解決されると思いましたが、逆に色々と謎を置いていった印象で、ややスッキリした感じがしなかった印象でした。
本作「エイリアン:コヴェナント」は「プロメテウス」を引き継ぐ内容で、そしてその後の「エイリアン」に続くエピソードとなっており、シリーズのミッシング・リンクであるとも言えます。
本作ではそもそもエイリアンという存在は何ものなのか、なぜあのような生物が存在するのかという謎、そして人類とは何者であるのかという謎が明らかになります。
そもそも人類はエンジニアという異星人が、自分たちの遺伝子を種として地球に蒔いたことが起源となっていました。
彼らが人類の創造主であるわけです。
そして人類は文明を発展させ、やがてアンドロイドという新たな生命というべき存在を産みだしました。
アンドロイドは死なないという点において、人類よりも「完全な」存在と言えます。
そのようなアンドロイドの一体、デイビッドらはプロメテウス号でエンジニアの存在を発見します。
そしてまた、彼らの創造物の一つであるエイリアンとも遭遇するのです。
本作で明らかになるのは、デイビッドがそのエイリアンをさらに改良し、完全なる生命体を作り上げていたということです。
攻撃的な性質、頑強な肉体、強酸性の血液、そして宇宙空間ですら生きることができるパーフェクトな生命体である、エイリアン。
アンドロイドである彼は不完全な存在である人類に作られました。
しかし、より完全であるはずの彼らは、不完全である人類に恭順をしなくてはいけませんでした。
デイビッドの中に人類を越え、さらに完全なる者を生み出したいという欲望が目覚めたのでしょうか。
この欲望は他者を征服し、自分たち以外を排除する弱肉強食の論理です。
デイビッドはその不完全さゆえに人類は存続するべきではないと言っていました。
結果的にはアンドロイドのデイビッドを経由して、自分たちの存在を脅かす存在を生み出してしまったわけです。
そしてそれはエンジニアもそうなのかもしれません。
生物というものはそのように新たな種が前の覇者を駆逐していくものなのでしょうか。
いくつかまだ積み残しの謎もあるように思いました。
本作の結末でコヴェナントが向かうのは元々の目的地であったオリエガ6だと思われます。
「エイリアン」でノストロモ号が到着したのは、オリエガ6なのでしょうか、それとも本作の舞台となっていた惑星なのでしょうか。
エンジニアの宇宙船があるということから本作の惑星であると思うのですが、ノストロモ号乗組員を襲うのはデイビッドの研究室の地下にあったエイリアンの卵なのですかね・・・?
その時デイヴィッドの痕跡が一つもないのはちょっと気になりますが。
そうだった場合は、オリエガ6の方にもデイビッドが持っていったエイリアンが2体いるはずなのですよね。
その後のデイビッドも気になります。
あと、エンジニアは(デイビッドに酷似した)王らしき人物に滅ぼされますが、これがデイビッドの妄想なのか(?)、現実のことなのかはわかりません。
現実のことであると彼は何者であるか、そして彼はその後どうなったのかというのが気になります。
彼はエンジニアたちに生み出されたアンドロイド的なものであったのかもしれません。
そうなると生物というものは自ら自分たちよりも優れたものを生み出し、そして滅ぼされていくという運命にある存在なのかもしれないとも考えられます。
意外と哲学的な話になったものですね。
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