「ナミヤ雑貨店の奇跡」 自分の人生の意味
こちらは試写会で鑑賞しました。
原作は東野圭吾さんですが、未読です。
まずは見終わった時の感想ですが、脚本がパズルように絶妙なバランスで組み立てられているなということです。
本作は誰か一人の主人公の物語というよりは、何人かの登場人物の人生が絡み合いながら描かれるアンサンブルになっています。
そして現代や過去のエピソードが重なり合いながら描かれるので、かなり複雑な構成です。
けれどもそれでもちゃんとわかるように組み立てらているのですよね。
一緒に行った方は「原作読んでいるから自分はわかったけど、未読で理解できた?」と言いました。
途中ちょっと戸惑うことはありましたが、十分理解できます。
原作からはカットされていたり、加えられたところもあるようですが、2時間強でよく収めたなという感じがしますね。
脚本は斉藤ひろしさんで、この方は「黄泉がえり」を書いた方なので、複雑な物語をわかりやすく構成するのが上手な方なのだなと思いました。
先に書いたように原作は読んでいません。
東野圭吾さんの作品をたくさん読んでいるわけではないのですが、映画化された作品を中心に少し読んだことがあります。
彼の作品に共通しているのが、自己犠牲ということなのではないかなと思います。
自己犠牲というと重々しいのですが、自分の人生がどこか誰かのためになっていると感じられる人生というのは、とても幸せなことだということです。
自分の人生というものは自分のものではあるのですが、自分だけで自分の人生ができているわけではありません。
誰かの人生の影響を受けるし、誰かに影響も与える。
どうせ生きて死んでいくのであれば、誰かの人生に良い影響を与えることができたのならば、いい人生であると言えるかもしれません。
自分だけのための人生は虚しさが残るかもしれませんね。
本作の登場人物たちは、結果色々ですが、共通しているのは自分が誰かのために良い影響を与えられて、そして自分の行為が誰かのために役立ったということを実感することができたということだと思います。
悲劇的な結末を迎えた人もいれば、幸せな人生を送った人もいる。
まだまだ人生これからの人もいる。
けれど誰かによって生かされて、誰かを生かしているということに気づくことができた。
これは幸せなことですよね。
自分の人生が何か意味がある、と思えるから。
人生が虚しいと感じてしまうのは、自分がいる意味を感じられないからかもしれません。
どんなに小さなことでも人の役に立てるということは、自分の人生を豊かにすることなのだなと改めて感じました。
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