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2017年8月13日 (日)

「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」 他のユニバースと異なる個性を出せていけるか?

予告編を観ていた時に「ダーク・ユニバース始動!」とかいうコピーが出てきて、「?」と思っていました。
マーベルが「マーベル・シネマティック・ユニバース」という考え方を導入し、連作ヒットを飛ばしていることから、最近は他社もそれに追随するコンセプトのシリーズを展開し始めています。
DCの「DC/エクステンディドユニバース」しかり、レジェンダリーの「モンスターバース」しかり。
ハリウッドでシリーズ物ばかりが作られるようになって久しいですが、ユニバースコンセプトはただのシリーズ物よりも拡張性が高いところが利点です。
続編だとやはりストーリーの整合性を保つのが難しく、またどうしても次回作が作られるまでの時間がかかります。
ユニバースコンセプトは、作品ごとの整合性は続編よりは緩いですし、複数の作品を並行して制作することが可能なので単なる続編よりも早いタームでリリースできます。
集客が手堅いシリーズ物をハイペースで送り出せるわけですから、映画会社的には放っておけないですよね。
しかし、マーベルとかDCとかもともとコミックで展開しているものではなく、「ダーク・ユニバース」という聞きなれない言葉だったので「?」となったわけです。
しかし、最初のユニバーサル映画のタイトル後の「ダーク・ユニバース」というタイトルを見て、合点がいきました。
なるほど、昔の「ユニバーサル・ホラー」をクロスオーバーさせようというわけかと。
「ユニバーサル・ホラー」というのは「魔人ドラキュラ」「フランケンシュタイン」「透明人間」「大アマゾンの半魚人」などのモンスター映画です。
それぞれ何度もリメイクされているので、観たことある人も多いですよね。
それらの作品は独立したものですが、今回の「ダーク・ユニバース」ではそれぞれをリンクさせていこうということでしょう。
マーベルやDCよりはちょっとカルトっぽい趣味ですけれども。
二番煎じ、三番煎じなので、これからユニバーサルらしさを出していけるかどうかがポイントですね。
他のユニバースに比べては、もともとホラーをベースにしているので、全体的にダークなテイストになっていますから、この辺りを個性としていきたいのでしょう。
本作の元は「ミイラ再生」ですが、これは「ハムナプトラ」として既にリメイクされていますが、全然テイストは異なります。
「ハムナプトラ」はどちらかというと陽性でしたが、本作はダーク。
トム・クルーズが出ていることにより、メジャー感は醸し出されますが、彼がいなかったら結構マイナーな作品になりそうな感じがしますね。
ミイラっていうところからシリーズを始めるのも、割と渋い。
ただこれもいろいろ考えたんでしょうね。
ドラキュラとか狼男とか、フランケンシュタインだと今まで何回も映画化されていて、それらがメジャーなので、今までと同じと見られたくなかったのかなと。
あえて渋い題材から入って、ただマイナーにはしたくなかったので主演は超メジャー級を当ててくる。
割と戦略的なのではないかと思いました。
映画としては可もなく不可もなくというところです。
よかったのはラッセル・クロウが演じていたジキル博士。
これは「ジキル博士とハイド氏」が元ネタですね。
このキャラクターは面白そうです。
彼がメインでの映画もいけそうですよ。
割とそういう渋いところで攻めていってほしいなと思いました。

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2017年8月 6日 (日)

「忍びの国」 一にも二にも大野くん

この作品、一にも二にも大野くんに尽きると言ってもいいでしょう。
主人公無門は怠け者で、妻の尻にいつもひかれている男ですが、忍びの国と言われる伊賀の中でも群を抜いた実力の持ち主です。
戦いにおいてもその飄々とした態度は変わることがなく、それゆえ真剣な相手と対照的で、そこから無門の実力が破格であることが伝わります。
彼は相手に負けることがイメージできないので、余裕がある状態が普通なのでしょう。
この無門というキャラクター、映画を見てしますと大野くん以外の人は想像できないくらいにはまっています。
飄々としてとぼけた感じ、妻に全く頭が上がらないダメな旦那、しかしいざ真剣になった時の切れ味。
またダンスを踊るかのように軽やかに相手の技を見切り、受け流すのは、さすが嵐の中でもトップクラスのダンスの妙手ならではでした。
本作の魅力は無門というキャラクターに負うところが多く、だからこそそれを具現化している大野くんに寄るところが多いと思います。

当時の伊賀には大名はおらず、権力の空白地帯のようなものでした。
土地は豊かではなかったので、あえてそこを取りに行く大名もいなかったのかもしれません。
そこに暮らす者たちは、畑を耕すことだけでは暮らしていけず、独自に発達させてきた忍びの術を他国に売る(雇われてスパイをする)ことにより生活を立てていました。
そのためか、他国のようなルールは通じず、まさに獣が生きるが如く自分の欲に忠実に生きていく人々の集まりとなって行きました。
それゆえ他国からは「虎狼の徒」と呼ばれ蔑まれました。
無門自身も忍びの価値観で育ってきたため、そのことに疑問を持つことはありませんでした。
しかし、最愛の妻を失った時、初めて忍びの価値観に疑問を持ちます。
この物語は弱小国伊賀が信長勢に一矢報いることを描くのではなく(映画を見始めた時はそう見えますが)、人を人とは思わない人々の国が滅びていく様を描いています。
己の欲のみを追求することを望み、他者を思いやる気持ちを持たない人々。
普通でいえば悪役になる人々を内から描き、それを最後にひっくり返して見せるところがうまいところです(これは原作によるものですけれど)。

演出的にはちょっとゆるい感じがしたのと、大野くんが良かっただけにもう少しアクションの合成などを頑張って欲しかったのが不満です。

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