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2017年6月 4日 (日)

「ローガン」 人としてのローガン

ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンが観れるのは、本作が最後になるそう。
タイトルが「ウルヴァリン」ではなく「ローガン」であるのは、ヒーローであるウルヴァリンではなく、人としてのローガンそのものを描こうという制作サイドの意思の表れであろうか。
「X-MEN」シリーズは大勢のヒーローが出てきて、舞台装置も派手にという見せ方が多くの人々に受け、現在のアメコミ映画全盛のきっかけを作った。
しかし、本作はそういった余計な要素を削り、ローガン一人を深く描けるような舞台設定となっている。
時は今よりも未来。
ミュータントたちの多くはいなくなり、ローガン自身もアダマンチウムの影響により、かつてのような治癒能力がなくなりかけていた。
そのためローガンは若々しさを失い、中年のような姿となっている。
ローガンはかつては獣であった。
持って生まれたヒーリングの力、そして人間によって埋め込まれたアダマンチウムによる戦闘能力により、人間とは異なる存在となり、多くの迫害を受けた。
生き残るために彼は多くの人々を傷つけた。
彼は孤独であった。
獣であった。
しかし、プロフェッサーXに出会い、多くのミュータントの仲間を得ることができた。
彼は信頼、愛といった人間らしい感情を再び手に入れ、家族のような存在を得ることができた。
しかし、それも人間たちの攻撃により失われていってしまう。
彼のヒーリング能力は彼だけを生かしてしまい、愛する人々は先に逝ってしまうことをただ見送るだけとなってしまった。
やはり彼は孤独であった。
おそらく失ってしまうだけであるならば、もう人を愛するようなことはすまいと彼は思ったのであろう。
人との関係を持たず、隠遁しているような生活を送るのは彼のそういう気持ちの表れである。
唯一、彼が関係を持っているのはかつて彼を導いてくれたプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア。
彼はローガンにとっての擬似的な父親であるのだろう。
しかし、そういった彼は謎の少女ローラに出会う。
彼女はかつてのローガンのようであった。
自分に手を出す者どもを全て斬り殺す。
彼女も獣。
ローガンは彼女に自分と同じものを見出した。
それもそのはず、彼女はローガンの遺伝子によって能力を移植された人工的なミュータントであったのだ。
チャールズの言葉もあり、ローラと一緒に逃避行を続けるローガン。
彼の中でかつて味わったことない感情が芽生えていく。
ローラを逃がすために、彼は治癒能力が失いかけている肉体で敵と戦う。
彼の戦いはまるで子を命がけで守ろうとする獣のようだ。
そして致命的な傷を負ったローガンは、ローラの腕の中で「そうか、こういうことなのか」とつぶやき、息をひきとる。
ローガンは初めて、人間として親として、大事な存在を手に入れることができた。
もうただ己のために戦う獣ではなかった。
本当の家族を手に入れることができた。
かつて味わったことのない気持ちをローガンは感じることができたのであろう。
自分が親になったとうこともあったためか、すごくこの場面ではぐっときてしまった。
子供のためであればなんでもするという気持ちはやはり親は持つものだ。
その感情はとても深く強い。
それをローガンは最後に味わうことができた。
本作はヒーローウルヴァリンを描いた作品ではない。
人間ローガンを描いた作品である。

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