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2017年1月 6日 (金)

「新宿スワン」 掃き溜めの白鳥

園子温監督の作品はあまり見ることがなかったのですが、こちらの作品「新宿スワン」をお正月休みに観てみました。
彼の作品で観たことがあるのは、テレビドラマの「時効警察」くらいじゃないでしょうか。
どうも園監督の作品はけっこうヘビーな印象があって、観るのにけっこう心理的にエネルギーが必要な感じがしていて、なんとなく避けてたんですよね。
今回については正月休みの時間があるときに、自宅で映画を観ようということになり、嫁の希望は綾野剛さんか山田孝之さんが出ている作品が良いということで、お二方が出ている「新宿スワン」にしようということになりました。
1作目はヒットもして続編も作られるという情報があったので、あまりえぐくはないだろうという読みもあり。
とはいえ歌舞伎町が舞台のスカウトマンの話なので、風俗の話などもバンバンでてくるので嫁と一緒に観ているとやや気まずいところもありましたが(笑)。
さて作品はというと、長尺の作品ではありながらも、想像していたよりもずいぶんと観やすい作品でした。
園監督はとっつきにくいというイメージがあったので意外ではありましたが、食わず嫌いでしたかね。
魅力的であったのは、綾野剛さん演じる主人公白鳥龍彦のキャラクターですね。
歌舞伎町のスカウトマンの話なので、登場人物たちは腹に一物を持っているような人間ばかりです。
ある意味、ゲスな人間が多く登場するわけですが、その中にあって龍彦だけが純粋に自分が世話をする女の子の幸せを考えて行動しています。
それは最初から最後まで変わらない彼の行動原理で、そのブレなさ加減が気持ちいい。
なかなか自分の思うようにならない世の中でストレスを持っていたり、自分を無理に合わせたりしている人(自分も含めて)が多い現代で、彼のブレない姿勢に爽快感を感じます。
汚れた街の中で、彼の気持ちだけは穢れない。
彼の名字の「白鳥」はその穢れなさを表し、名の「龍彦」は彼の生き方を貫くためのの激しさを表しているようにも感じます。
まさに歌舞伎町(掃き溜め)の白鳥。
この場合は見てくれの美しさというよりも、生き方の美しさというものなのですけれど。
彼自身は彼の生き方に深い考えがあってそう生きているわけではなく、もっとピュアで素直な気持ちなのですよね。
「バカ」とも言えるわけですが、そういうまっすぐさが気持ちいい。
2作目は劇場で観たくなりました。

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コメント

ケフコタカハシさん、こんばんは!

アヤマダ!そんな風に言うんですね。
とはいえ、うちも正月に映画を家で見ようと言った時に、奥さんが山田くんと綾野くんの出ている映画がいいと言ったので、こちらの作品を選んだのですが。
奥様にはこの二人人気なのですね。
1作目思っていたよりも面白かったので、2作目も見ようかなと思っているところです。

投稿: はらやん | 2017年1月26日 (木) 23時07分

こんにちは。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくのタカハシです。

おや、奥方様はアヤマダ(綾野剛と山田孝之両方のファンのことをこう呼ぶらしい)なんですね。
続編が今月末から公開予定です。
1作目観た後では山田孝之が出ないなら2作目はどうでもいいやと思ってたんですけど、キャストがかなり豪華なので、やっぱり観に行こうかな〜なんて思ってます。笑

投稿: ケフコタカハシ | 2017年1月 6日 (金) 21時22分

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(C)2015『新宿スワン』製作委員会映画「新宿スワン」作品情報 見応えありましたよ。139分を全く退屈させないのは、ひとえに役者陣の厚さ故でしょうな。綾野剛、山田孝之、沢尻エリカの3人がメインとなって宣伝を打ってますが、この3人はあくまでもツリです。脇を固める金子ノブアキ、深水元基、山田優そして伊勢谷友介らの動きの方が、私は気になって仕方ありませんでした。 そういう意味では...... [続きを読む]

受信: 2017年1月 6日 (金) 21時13分

» 新宿スワン ★★.5 [パピとママ映画のblog]
ベストセラーを誇る和久井健の漫画を実写化したドラマ。新宿の歌舞伎町を舞台に、スカウトマンの青年がさまざまな女性を水商売、風俗、AVといった世界へと送り出しながら奔走する姿を追う。監督は『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』などの園子温。『そこのみにて光輝く』などの綾...... [続きを読む]

受信: 2017年1月11日 (水) 15時51分

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