「君の名は。」 吟味し抜いた107分
<ネタバレを含みますので、要注意>
知り合いのお子さん(10代男子)が5回見て、5回泣いたと言っていた本作、ようやく観に行ってきました。
良くできている作品だとは思うのですが、泣いたかと言われると泣かなかったのですよね。
たぶん40代男子はすれちゃっていてダメなんだろう。
というのは冗談で、こちらの作品を観ているとよく考えられて作っているなと感じるところがいくつかあり、感心して観ていたというところでしょうか。
わりと客観的に観てしまったため、泣けなかったというか。
新海誠監督は「秒速5センチメートル」等を作った方ですが、実は彼の作品を観るのは初めて。
デビュー作「ほしのこえ」は新海監督が監督・脚本・演出・作画・美術・編集をほとんど一人でやったということを以前聞いてびっくりした覚えがあります。
本作を観て思ったのは、この監督はきっちり計算して作品を作っているのではないかということ。
どういうふうな構成、演出であれば、観客は理解しやすいか、感情移入をしやすいかということを考えて、計算づくで(悪い意味ではなく)作っているように感じました。
作品のターゲットも10代の男女ときっちり設定しているのではないでしょうか。
おそらくこのターゲットはそれほど映画を観ている層ではないでしょう。
本作のように人が入れ替わったり、タイムラインが交錯したりする物語は複雑になりがちですが、観客側が頭を使って整理をしなくても、ストーリーの流れに身を任せていれば理解できる。
中身の入れ替え、時間のずれなども他の映画ではそこを解き明かすまでに時間がかかったりしますが、この作品ではそのあたりはわりとすんなりわかってしまう。
その仕掛け自体が重要であるという認識なのでしょう。
あと、先にハッピーエンドになりそうな予感があるのも10代にもいいかと。
冒頭に大人になった二人がすれ違うシーンがあるので、三葉が死ぬということは避けられるだろうということはわかります(よほどひねくれたストーリーでなければ)。
個人的には頭で結論が想像できるのはもったいないのでは、もっとハラハラさせたほうがよいのでは、と最初は思ったのですが、たぶんこちらのほうが安心して映画を観ることはできるかもしれないと思いました。
深い映画ファンでない若い世代は凝ったストーリーとか、どんでん返しを期待しているのではなく、ハッピーな気持ちになれるこを望んでいるのかもしれない。
そういう点で、この作品はきっと幸せな気持ちにさせてくれるという安心感が感じられるのですよね。
途中ハラハラする場面はあるのですけれど、なんだか悲劇的な結末には至らないという安心感があります。
どんでん返しを作品の肝にしているわけではなく(どんでん返しの肝の作品は二回目は見たいとあまり思わない)、主人公二人が困難を越えてハッピーになる物語なので、何度でも繰り返し観たいという気持ちになりやすい。
冒頭に紹介した10代男子のようにリピーターがこの作品には多いというのもそういう理由からではないでしょうか。
日経新聞に載っていた記事では監督あh作品の長さにもこだわりをもっているようです。
観客のことを考えなるべく作品の長さは短くすることを考えているようです。
監督が脚本から編集までをご自身で担当していることも、計算され吟味された無断がなくわかりやすい作品づくりにつながっているかもしれません。
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コメント
根保孝栄・石塚邦男さん、こんばんは!
もうご覧になられましたか?
新海監督の作品は私も初めて観ましたが、確かに絵が美しかったです。
光の捉え方がうまいんですよね。
これからも期待の監督です。
投稿: はらやん | 2016年11月 6日 (日) 22時52分
(゚▽゚*)「君の名は」の映画、随分話題になっているみたいで、観にいこうと思ってます。絵が美しいとか・・・。
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2016年10月 8日 (土) 05時48分