「X-MEN:アポカリプス」 エンターテイメントと思想のバランス
「X-MEN」新三部作の最終章です。
前作「フューチャー&パスト」ではタイムトラベル要素が入ってきたので、間が空いてから見るとタイムラインがわからなくなります。
しかし今回はジーンやサイクロップス、ストームなど「X-メン」の主なキャラクターが登場し、旧三部作と新三部作のリンクが明快になってきます(実際は前回過去の改変を行っているから、タイムライン的には別になりますが)。
ジーン、サイクロップス、ストームは旧三部作から俳優陣も若々しくなっています(過去を描いているので当たり前か)。
とはいえ助っ人として登場するあの人は変わらず。
他の誰が演じてもブーイングが来そうなので、なかなか変えづらいですよね。
不死の体だから老けないってことで。
「X-MEN」シリーズは登場人物も多いし、超能力もド派手なものが多いので、話のスケールがかなり大きくなりがちです。
ともすると大味になりやすいのですが、さすがブライアン・ジンガーは手堅くまとめ、その辺もバランス良くしていますね。
強大な力を持つ適役が登場すると、従来のキャラクターがこじんまり見えたり、妙なパワーアップをしたりと、話がインフレを起こしやすい。
今回などはX-MENサーガの時系列としては真ん中辺になるので、無理はパワーアップは先に繋がらなくなりますし、手加減が難しいところです。
究極に個の力を高めることにより、それ以外の人間を支配し、平和を実現しようとするアポカリプス。
彼が見ている世界は戦いがなく平和なのかもしれないですが、それぞれの人間は抑圧されている世界です。
しかし、プロフェッサーXが目指しているのは、誰でもがその違いにかかわらず平和に暮らしていける社会です。
旧三部作に比べ、ミュータントが象徴するマイノリティの苦しみ の描き方は新三部作薄いですが、それが「X-MEN」シリーズの描く思想であることは間違いないでしょう。
大作のアメコミ映画としてエンターテイメント感は強く出しつつも、「X-MEN」らしい思想は保っている作品となっていると感じました。
さてこれで「X-MEN」サーガは繋がったわけですが、次回はどういう風に展開しますかね。
個人的にはミスティークとマグニートがどう合流していくかが見てみたいところです。
(それとも新しいタイムラインでは合流しないのか?)
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ヒットシリーズ『X-MEN』の第6弾にして完結編。数千年の眠りから目覚めて人類に新しい秩序をもたらそうとするミュータントのアポカリプスに、プロフェッサーXらX-MENが立ち向かっていく。監督は、シリーズ第1作、第2作、第5作も手掛けたブライアン・シンガー。『フィルス』などのジェームズ・マカヴォイを筆頭に、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、オスカー・アイザックと実力派スターが結集する。VFXを駆使した壮絶なバトル描写の数々に加えて、X-MEN結成をめぐるエピソードにも注目。
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圧倒的VFXで見事な黙示録的、終末観がたっぷり。!
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X-MEN: APOCALYPSE
2016年
アメリカ
143分
SF/アクション/アドベンチャー
劇場公開(2016/08/11)
監督:
ブライアン・シンガー
『X-MEN:フューチャー&パスト』
製作:
ブライアン・シンガー
製作総指揮:
スタン・リー
原案:
ブライアン・シンガー...... [続きを読む]
受信: 2016年12月25日 (日) 17時17分
コメント
根保孝栄・石塚邦男さん、こんばんは!
「シン・ゴジラ」は若い人の方が素直に楽しめるかもしれないですね。
私も色々気になって、世間で言われるほど個人的には評価は高くありません。
どうしても「エヴァンゲリオン」にしか感じらなくて。
「ゴジラ」でやらなくてもいいじゃんと思ってしまいました。
投稿: はらやん | 2016年11月 5日 (土) 23時25分
ここなつさん、こんばんは!
「X-MEN」のシリーズはバックに哀しみがあるところが「アベンジャーズ」とは違いますよね。
そのテーマを大事にしていけば、このシリーズはまだまだ作り続けることができるような気がします。
投稿: はらやん | 2016年11月 3日 (木) 22時03分
XーMANシリーズは大体観てますが、あまり興味ないのは、超能力に興味ないためか。ただ、新しい作品ごとに特映技術が進歩していることくらいかな。やはり、歳ですかね。シンゴジラも面白くなかったのは、年齢のせいかな。(≧∇≦)
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2016年9月22日 (木) 02時33分
こんにちは。
三部作としては完結しても、シリーズはまだまだ続いて欲しい、と、願う私です。
確かにおっしゃるように、「ミュータントが象徴するマイノリティの苦しみ」が「「X-MEN」シリーズの描く思想である」のですよね。
だから希望もあるけれども、哀しみをバックにしていて、そこがこのシリーズの味わい深い所なのだな、と思いました。
投稿: ここなつ | 2016年9月21日 (水) 17時09分