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2016年5月 2日 (月)

「仮面ライダー電王」<平成仮面ライダー振り返り-Part8> その後に影響を与えたエポックな作品

平成仮面ライダーシリーズは現在(2016年)に放送されている「仮面ライダーゴースト」で17作目。
改めて過去の作品を振り返っていると10作目である「仮面ライダーディケイド」がちょうど境目になっているように思えます。
「ディケイド」は意識的にそれまでの平成仮面ライダーを総括していて、その後の第2期とも呼べる現在につながるライダーはある意味手堅く作られているように感じる時もあります。
もちろん2人で一人のライダーとなったり、車にライダーが乗ったりと設定上今までにないチャレンジをしているのですが、第1期(「ディケイド」まで)はひっくり返るほどに驚いたことがしばしばあったので、物足りないところもあります。
現在は成功の方程式ができていて、周囲から期待もされているので、なかなか冒険しにくいというところもあると思いますが。
驚くことが多かった第1期の中でも飛び抜けて驚いたのが、こちら「仮面ライダー電王」ではないでしょうか。
仮面ライダーが電車に乗って、時を旅するって設定をオンエア前に聞いた時、どんな風になっちゃうのか想像できなかったものでした。
何しろ主役の仮面ライダーがあまり格好良くない(笑)。
おもちゃ大丈夫かと心配になってしまいました。
(蓋を開けてみると、電車が顔の線路を走ってきて仮面を作って変身するというトンデモなくインパクトのある変身シーンで、かっこいいとか悪いとかいう次元を越えてしまった)
当時のレビューを読むと、最初はそれほど話に乗り切れなかったと書いているので、長年のライダーファンだからか固定観念があって戸惑ったのかもしれません。
しかし「電王」はそういった特撮ファン以外の人にも当たって、一般的にもブレイクしたライダーでした。
今、若手の俳優の中でも演技派の筆頭でもある佐藤健さんも本作で一気にメジャーになりました(本作を見直してみても、彼の演技はうまい)。
最初乗り切れなかったのは、時を旅するという設定のため、今までの仮面ライダーよりもちょっと全体の話が複雑に感じたところでしょうか(例えば特異点の設定とか)。
しかし今見直してみると、かなり最初の頃からしっかりと設定を考えているように感じました。
もちろん「仮面ライダー」シリーズなので、最初からきっちりとゴールを決めているとは思いませんが、ところどころにおいていた伏線をきれいにさらっていったと思います。
ヒロインのハナ役の白鳥百合子さんの途中降板とかアクシデントもありましたが、苦肉の策のコハナの設定も最初から考えていたかのようにしっくりきました(この辺はさすが小林靖子さん)。

また「電王」はその後の平成仮面ライダーの展開を考えると重要な役割を担っています。
今でこそ「ライダー大戦」とか「オールライダー大集合」いった映画、テレビシリーズのイベント回などで、ライダーもしくはスーパー戦隊とのクロスオーバーというのは当たり前になっています。
けれども「電王」当時はそのようなことは考えられませんでした。
しかし、「電王」で時間を自由に行き来することができる設定(デンライナー)ができました。
これはその後のクロスオーバーしていくには非常に使い易い便利な設定ということに制作サイドは気づいたのでしょう。
そして「ディケイド」で自由に空間(時空)を行き来できる設定が取り入れられ、ライダー世界がクロスオーバーすることとなります。
今でこそクロスオーバーが当たり前なので、細かい設定(なぜライダーが同じ空間にいるか)などということを説明することが必要なくなってしまいましたが、なんでもありのその素地を作ったのが「電王」であると言えます。
そういう意味で「電王」はこの作品が面白いということだけではなく、平成仮面ライダーシリーズ全体に影響を与えたということで極めてエポックであると思います。
そういう視点で冒頭の話題になるのですが、最近の平成仮面ライダーシリーズは単体で面白い、面白くない云々ではなく、今後のシリーズに影響を与えそうなインパクトがある作品がないなと感じるところがありますね。
一期10年と考えると第2期もそろそろ終盤。
エポックな作品の登場を期待します。

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