« 「エヴェレスト 神々の山嶺」 魅入られた男たち | トップページ | 「手裏剣戦隊ニンニンジャー 」  オーソドックスな安定感 »

2016年4月23日 (土)

「アイ アム ア ヒーロー」 日常から非日常へのグラデーション

さすがR15+指定、血みどろでしたねえ。
正直、血がたくさん出てくる映画は苦手なのですが、気になって見に行ってきました。
原作のコミックは例によって読んだことがなかったのですけれど、面白いという評判は聞いていました。
読んではないのですが、唯一覚えていた漫画の印象的なカット(英雄がショットガンを持ってたたずんでいる姿)が予告でもイメージ通りに再現されていたので、気になったのですよね。
ジャンル的にはゾンビ映画になるのでしょうか。
海外ではこの手の作品は大作から、こじんまりしたものまでたくさん種類がありますが、日本ではこのくらい本格的なゾンビ映画はあまりなかったような気がします。
本作で特徴的だなと思ったのは、佐藤監督がパンフレットのインタビューでも語っていましたが、日常から非日常へのグラデーションの描き方かなと思いました。
恋人やアシスタント仲間がZQN化してしまい、状況が掴めぬまま主人公の英雄が街に出たあたりからの描写に特徴を感じたんですよね。
最初は見慣れた普通の街。
そこには何も知らずに歩いている人たちがいます。
しかし、次第に何かから逃げ出している様子の人々が混じり、ついにはZQNたちが人を襲っている場面に英雄は出くわします。
そして彼も襲われ、逃げていく中で町中がパニックに陥っていく様が描かれていきます。
普段と違う、なんかおかしいという嫌な予感がだんだんと現実感を増していくぞわぞわとした感じ。
そのぞわぞわがリアリティを持ち始め、タクシーでのアクションシーンになだれ込んでいくのですが、ここまでの流れ、監督が言う日常から非日常へのグラデーションがいいなと思いました。
あとZQNたちが人間としての最後の記憶だけを持っていて、繰り返しそれを行ってしまう姿というのも印象的でした。
彼らが行っているのは日常的な行為、だけれど人を食らうという非日常的なことも同時に行う。
この日常感と非日常の混在というのが、居心地の悪いぞわぞわ感をかもします。
悪夢が現実となっていってしまうという流れがある一方、夢が現実になっていく姿も描かれます。
英雄が持ち込みをしていた漫画は、自分自身を投影したもの。
つまらない自分が、誰かを守るためのヒーローになる。
しかし、現実には彼自身が自ら積極的にそのようになろうとしていたわけではありません。
夢は夢のままであったはずです(恋人が喝破したように)。
けれど悪夢が現実となってしまった状況の中で、彼は誰かを救わなければならない立場になります。
そのような状況でも、迷いビビり、人を救えないと嘆く英雄。
人間なんてそんな簡単に変われるもんじゃないと思う気持ちというのは、ヒーローらしからぬもので、とても共感性があります。
ロッカーから飛び出そうとしても、いろんなことを想像してしまい、踏み出せない英雄の姿は、多くの人が共感するのではないでしょうか。
新しいことをやりたい、チャレンジしてみたい、そういう気持ちはあっても失敗することが怖くて踏み出せない。
そういうことってあります。
それが夢につながることであっても、踏み出すのにものすごく勇気がいる。
英雄はヘタレですけれど、その一歩を踏み出せたところ、勇気を振り絞れたところが、誰かを守れる人間になりたいという彼の夢を実現への道に繋がったのでしょう。
追い込まれた時、人の本質が出てくる。
覚悟を決められるか決められないか。
英雄は最後には覚悟を決められる本質を持っていた。
ヒーローになれる本質を彼は持っていたのでしょうね。

|

« 「エヴェレスト 神々の山嶺」 魅入られた男たち | トップページ | 「手裏剣戦隊ニンニンジャー 」  オーソドックスな安定感 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/186553/63527616

この記事へのトラックバック一覧です: 「アイ アム ア ヒーロー」 日常から非日常へのグラデーション:

» アイアムアヒーロー ★★★★ [パピとママ映画のblog]
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」などの花沢健吾の人気コミックを実写化したパニックホラー。突如として広まった原因不明の感染によって大パニックが引き起こされる状況で、決死のサバイバルに挑む者たちの姿を映す。メガホンを取るのは、『GANTZ』シリーズなどの佐藤信介。...... [続きを読む]

受信: 2016年4月25日 (月) 15時19分

» アイアムアヒーロー [Akira's VOICE]
有村架純と長澤まさみがそばにいるだけで男は強くなれる!   [続きを読む]

受信: 2016年4月26日 (火) 18時19分

» アイアムアヒーロー [象のロケット]
35歳の漫画家アシスタント鈴木英雄がアパートに帰ると、そこには「異形」の彼女がいた。 一瞬にして現実の世界は崩壊し、姿を変えて行く。  謎の感染によって人々が変貌を遂げた生命体ZQN(ゾキュン)で街は溢れ、日本中は感染パニックに陥った。 標高の高い場所では感染しないという情報を頼りに富士山に向かった英雄は、女子高生・比呂美や元看護師・ヤブらと出会う…。 サバイバル・アクション。... [続きを読む]

受信: 2016年4月29日 (金) 12時25分

» 劇場鑑賞「アイアムアヒーロー」 [日々“是”精進! ver.F]
俺が君を守る… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201604230000/ アイアムアヒーロー 公式映画原作本 終わりの始まりだ [ 花沢健吾 ]価格:699円(税込、送料無料) 【在庫あり/即出荷可】【漫画】アイアムアヒーロー 全巻セット (1-20巻 最新刊) / 漫画全巻...... [続きを読む]

受信: 2016年4月29日 (金) 14時00分

» 『アイアムアヒーロー』を新宿ピカデリー6で観て、しょーがないじゃん有村架純がかわいいんだから★★★★ [ふじき78の死屍累々映画日記]
▲美女二人。映画の命題はこの二人と引き換えに世界を失ってもいいか、という気もするのだけど、それだったら答はYESでしょう。 五つ星評価で【★★★★虐殺されるゾンビよ ... [続きを読む]

受信: 2016年4月29日 (金) 18時48分

» 「アイアムアヒーロー」DQNに追い込まれた先にみた自ら生き残るため誰かを救うために勇気をもって立ち上がった平凡な男のヒーローストーリー [オールマイティにコメンテート]
「アイアムアヒーロー」(R15+指定)は花沢健吾原作の漫画を映画化した作品で、正体不明の感染によりゾンビと化した人間たちが街の人たちを襲いパニックになるなか生き延びようとする ... [続きを読む]

受信: 2016年4月29日 (金) 19時07分

» アイアムアヒーロー [あーうぃ だにぇっと]
アイアムアヒーロー@一ツ橋ホール [続きを読む]

受信: 2016年4月30日 (土) 07時51分

» アイアムアヒーロー [勝手に映画評]
謎のウイルスに感染してZQNと呼ばれるゾンビ化した人々に襲われ逃げ惑う様子を描いたパニックムービー。世界三大ファンタスティック映画祭の第48回シッチェス・カタロニア国際映画祭では観客賞及び最優秀特殊効果賞、第36回ポルト国際映画祭では観客賞及びオリエンタルエ...... [続きを読む]

受信: 2016年4月30日 (土) 08時33分

» アイアムアヒーロー [映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜]
評価:★★★【3点】(10) 基本的に機敏なゾンビは認めたくないのだ^^; [続きを読む]

受信: 2016年4月30日 (土) 12時13分

» 「アイ アム ア ヒーロー」☆大泉洋と思って舐めたら危険! [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
あー、面白かった! あー、疲れた・・・・・ あー、マジ怖かった(;´д`) うー、グロかった・・・ これってゾンビが出てくるゆる~いコメディかと思っていたら大間違い!!!これはコメディだけどホラーだわ。 でも相当良くできていて、実に面白い!!!... [続きを読む]

受信: 2016年5月 1日 (日) 15時10分

» アイアムアヒーロー [ハリウッド映画 LOVE]
[続きを読む]

受信: 2016年5月 1日 (日) 19時20分

» ■アイアムアヒーロー [しんちゃんの徒然なる映画日記]
第399回「制約の中で一定の成果を出した秀作だと思う。」 ゾンビ映画好きを公言している私にとって、今回の作品「アイアムアヒーロー」は映画化が決まった段階から楽しみにしていました。マンガでは珍しく「ゾンビ」というジャンルをしっかり描いた作品で原作のファン...... [続きを読む]

受信: 2016年5月 1日 (日) 22時35分

» アイアムアヒーロー [とりあえず、コメントです]
花沢健吾著の同名人気コミックを大泉洋主演で映画化したパニックアクションです。 予告編を観て怖そうな映画だなあと思いつつもキャストに惹かれてチャレンジしてみました。 永遠のような戦いの後に立ち上がる主人公の姿がめちゃくちゃカッコ良かったです~ ... [続きを読む]

受信: 2016年5月 3日 (火) 10時40分

» アイアムアヒーロー [★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★]
2016/04/23公開 日本 R15+ 127分監督:佐藤信介出演:大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、片桐仁、マキタスポーツ、塚地武雅、徳井優、風間トオル ようこそ。絶叫のZQN(ゾキュン)パニックへ。 STORY:漫画家アシスタントとしてパッとしない...... [続きを読む]

受信: 2016年5月 5日 (木) 00時05分

» アイアムアヒーロー [to Heart]
ようこそ。絶叫のZQN(ゾキュン)パニックへ。 上映時間 127分映倫 R15+ 原作 花沢健吾『アイアムアヒーロー』(小学館『ビッグコミックスピリッツ』連載) 脚本 野木亜紀子 監督 佐藤信介 出演 大泉洋/有村架純/長澤まさみ/吉沢悠/岡田義徳/片瀬那奈/片桐仁/マキタス...... [続きを読む]

受信: 2016年5月 5日 (木) 23時02分

» アイアムアヒーロー [映画的・絵画的・音楽的]
 『アイアムアヒーロー』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。 (1)話題のゾンビ映画(注1)ということで、映画館に行ってきました。  本作(注2)の冒頭では、TVで女子アナが「広島県で45歳の女性が土佐犬に噛まれました。重傷です」といったニュースを読み上げています。 ...... [続きを読む]

受信: 2016年5月 6日 (金) 06時22分

» アイアムアヒーロー [だらだら無気力ブログ!]
テレ東がアニメ放送している間は問題無いってのは笑った。 [続きを読む]

受信: 2016年5月10日 (火) 00時26分

» [映画][☆☆☆★★][2016年の映画]「アイアムアヒーロー」感想 [流浪の狂人ブログ〜旅路より〜]
 「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載中の、花沢健吾原作のコミックを、「図書館戦争シリーズ」の佐藤信介監督、「駆込み女と駆出し男」の大泉洋主演で実写映画化。感染すると凶暴な動く死体「ZQN(ゾキュン)」となる謎のウイルスが蔓延。世界中がパニック... [続きを読む]

受信: 2016年5月10日 (火) 21時09分

» No.544 アイアムアヒーロー [気ままな映画生活]
花沢健吾のベストセラーコミックを、大泉洋主演で実写映画化したパニックホラー。冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼 ... [続きを読む]

受信: 2016年5月10日 (火) 23時04分

» <アイアムアヒーロー> [夢色]
公開延期にもなってたから、ずっと楽しみにしてた佐藤監督の新作( 艸`)4月から仕事が忙しくて、レイトショーで起きてられる自信がなかったので、なかなか行けなかったのですが(笑)ようやく観てきました〜。あのねー・・・めっちゃ面白かった!!!でも、、、 め...... [続きを読む]

受信: 2016年5月12日 (木) 12時12分

» アイアムアヒーロー  監督/佐藤 信介 [西京極 紫の館]
【出演】  大泉 洋  有村 架純  長澤 まさみ 【ストーリー】 漫画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄。そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウイルスに感染して襲い掛かってくる。慌てて趣味の射撃で所持する散弾銃を手に外に飛び出す...... [続きを読む]

受信: 2016年5月12日 (木) 15時41分

» アイアムアヒーロー [ケントのたそがれ劇場]
★★★☆ 製作:2015年日本 上映時間:127分 監督:佐藤信介  またまた原作がコミックの作品である。同時期に上映している作品だけでも、『ちはやふる』、『テラフォーマーズ』、『スキャナー』、『僕だけがいない街』、『暗殺教室』、『ヒーローマニア』などがず... [続きを読む]

受信: 2016年5月12日 (木) 18時28分

» 日本発、ゾンビ映画 [笑う社会人の生活]
1日のことですが、映画「アイアムヒーロー」を鑑賞しました。 漫画家アシスタントの35歳 鈴木英雄 彼の恋人が謎のウイルスに感染して襲い掛かってくる 慌てて散弾銃を手に外に飛び出すが街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた。出会った女子高生・早狩比呂美と逃げる...... [続きを読む]

受信: 2016年5月20日 (金) 21時35分

» ヒョエ〜〜グロい。指の隙間からみてました。(;´∀`)〜「アイアムアヒーロー」〜 [ペパーミントの魔術師]
大泉洋ありきで見ています。(こんなんばっかしやな) なんで、予告のあの盛り上げ方だと、キモイけど少しは笑わせてくれるのかと思いきや 大真面目なパニックホラーでした。 有村架純ちゃんのゾンビ化があまりに都合よすぎる。(わわわわわ) あの子だけきれいなまま...... [続きを読む]

受信: 2016年5月22日 (日) 18時20分

» アイアムアヒーロー [映画と本の『たんぽぽ館』]
一味違うゾンビもの * * * * * * * * * * ゾンビものは守備範囲外ではありますが、 やはり大泉洋は見逃せない、というわけで・・・。 主人公はサエない漫画家アシスタントの英雄。 名前は「ヒーロー」だけれども、全然実態が伴っていない。 人...... [続きを読む]

受信: 2016年5月24日 (火) 19時38分

» アイアムアヒーロー [そーれりぽーと]
和製ゾンビ映画『アイアムアヒーロー』を観てきました。 ★★★ ゾンビ映画が全く無理な私ですが、この映画の原作漫画は面白くて読んでいるので、ちょっと楽しみにして観てきました。 本作は、きっと原作のファンかどうかで受け止め方が全く変わる映画かもしれません。 大...... [続きを読む]

受信: 2016年5月28日 (土) 08時46分

» 『アイアムアヒーロー』 [時間の無駄と言わないで]
いや〜ナメてましたわ。 こりゃ凄い。 「邦画として」ではなく、「洋画邦画問わずゾンビモノとして」衝撃的だった。 予告編の段階では全く観に行く気が起きなかったけど、なん ... [続きを読む]

受信: 2016年6月 5日 (日) 00時52分

» 16-091「アイアムアヒーロー I AM A HERO」(日本) [CINECHANが観た映画について]
土佐犬に、ではなく、土佐犬が咬まれて重体です  漫画家アシスタントとして最低な日々を送る35歳の鈴木英雄。ある日、徹夜仕事から帰宅した英雄は、異形の姿に変貌した恋人に襲われかける。  辛くも逃げ出した英雄は、同じように異形の者が人々を次々と襲い、襲われた人間もまた異形の者へと変貌していくさまを目の当たりにする。やがてそれは“ZQN(ゾキュン)”と呼ばれ、謎の感染パニックが日本中で起きていることが分かってくる。  標高が高いところは感染しないという情報を頼りに富士山を目指した英雄は、そ...... [続きを読む]

受信: 2016年8月 3日 (水) 01時51分

» アイアムアヒーロー [銀幕大帝α]
2015年 日本 127分 ホラー/サスペンス/ドラマ R15+ 劇場公開(2016/04/23) 監督: 佐藤信介 『図書館戦争 THE LAST MISSION』 原作: 花沢健吾『アイアムアヒーロー』 出演: 大泉洋:鈴木英雄 有村架純:早狩比呂美 長澤まさみ:藪/小田つぐみ 吉沢悠:伊浦 岡田義徳:サンゴ 片瀬那奈:てっこ 片桐仁:中田コロリ マキタスポーツ:松尾 塚地武雅:三谷 風間トオル:千倉 徳井優:アベサン <ストーリー> 平凡な毎日を送る漫画家アシスタントの鈴木英雄。そ... [続きを読む]

受信: 2016年11月 3日 (木) 16時42分

» アイアムアヒーロー [マープルのつぶやき]
JUGEMテーマ:邦画 nbsp; nbsp; 「アイアムアヒーロー」 監督:佐籐信介 原作:花沢健吾 2016年 日本映画 127分 R15+ キャスト:大泉 洋      有村架純      長澤まさみ      吉沢 悠      岡田義徳 nbsp; 売れない漫画家、英雄は、恋人が謎の感染症に冒され、 街に逃げ出すとそこも感染者で溢れかえっていることに 気づ... [続きを読む]

受信: 2017年2月14日 (火) 10時34分

« 「エヴェレスト 神々の山嶺」 魅入られた男たち | トップページ | 「手裏剣戦隊ニンニンジャー 」  オーソドックスな安定感 »