「ザ・ブリザード」 リーダーの条件
観に行く予定ではない作品でしたが、意外と面白かった。
海難救助映画というのは「ポセイドン・アドベンチャー」から色々な作品がありますが、この作品もその系譜に位置付けられますね。
驚いたのはこの作品が実際にあった話を元にしていて、それが何十年も前の出来事であるということでした。
タンカーが真っ二つに割れてしまうほどの嵐ってどのくらいの凄さなのでしょう。
そしてタンカーに残された人々を救うために、あんなちっちゃな救助船で向かうなんて!
今だったらレーダーやら衛星やらGPSやらでもっと詳細な情報を手に入れることができるでしょうけれど、ほぼ経験に裏付けられたカンのみで事態に対処しているわけなんですよね、すごい。
この映画を観て、考えたのはリーダーシップです。
本作には二人のリーダーが登場します。
破壊されたタンカーペンドルトン号に残ったクルーを率いることとなるシーバート機関士。
そして彼らの救助に向かうアメリカ沿岸警備隊のウェバー。
彼らの行動を見ていると、危機的状況の中でのリーダーの行動について学ぶところがありますね。
まず感心したのは判断の速さです。
状況は刻々と変わっていきます。
それも予想できない悪い方向に。
そのように変わっていく状況の中で、呆然としていては何も解決はしません。
もっとも適切である方法は何かと判断し、すぐに行動に移す。
硬直した考え方ではなく、柔軟に状況に対応することも大切です。
シーバートが船を沈めないために、座礁させると判断したことはこのことです。
船乗りにとって座礁はあってはならないことですが、この場合はそれが最善であると判断したわけですね。
判断すると言っても、闇雲に決めればいいというわけではありません。
そこには冷静な計算がなくてはなりません。
クルーの何人かは恐怖心にかられて、小さなボートを出そうとしますが、シーバートはその危険性がわかっていました。
カンや希望的な観測だけでの判断は、本当の判断ではありません。
また冷静に考えるだけも足りません。
ウェバーは越えるのは不可能と言われた浅瀬に挑みます。
救助船のクルーたちも本当に越えられるのかと不安に駆られます。
しかし、チームを率いるリーダーの強い意志を感じるからこそ、彼らはその難関に挑めるのです。
リーダーに求められるのは強い意志と、それをチームに表明することですね。
加えて、シーバードにしてもウェバーにしても、船や海に対する深い知識がありました。
冷静な判断をするにしても、目標を達成しようとする熱い意志を持つにしても、十分な知識がなければなりません。
勝算が立てられるか否か、その判断のベースにあるのはやはり知識です。
知識がない中での判断は、ただの無謀です。
広範で深い知識を持ち、それに基づいた冷静な判断ができ、それを叶えようとする熱いパッションを持って、チームメンバーの気持ちをまとめ上げられる。
これが優れたリーダーの条件なのでしょうね。
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