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2015年10月12日 (月)

「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」 既存の枠組みを壊せない

コミックの「進撃の巨人」の魅力というのは、あまり他では見たことがない独特なテイストではないかと思っています。
失礼ながら画はあまり上手と言えないですし、ストーリーもやや乱暴(読み手にわかりやすい物語ではない)のですけれど、続きが読みたくなるような中毒感があります。
この独特なテイストが映画では、前編・後編を通じても表現できていない感じがしました。
前編のときにキャラクターが安っぽい感じ、芝居くさい感じがしたと書きましたが、その感覚は後編も続いていて、というより強くなっている感じがします。
コミックのどこにも見たことがないという感じは薄れ、ストーリーにしてもどこかで見たことがあるような小粒な印象になってているような気がします。
後編の最初にある「前回のあらすじ」的なもの、そしてその後にある実写版の「進撃の巨人」の背景にある設定の説明(回想シーン等)が長く、辟易としてしまいました。
そこで語られる物語も、人間を箱庭のような環境においての「実験」的なもので、あまたあるSF映画で繰り返されたようなもので、どこかで見た感を感じます(最近では「メイズランナー」とか)。
囲われて飼慣わされた人間の中から、若者がその壁を打ち破って外の世界に歩み出す、というのはそれこそ今までも様々な物語で語られてきたお話です。
超大型巨人は古い世界、常識、大人たちの象徴で、若者たちが越えるべき壁と言えるでしょう。
若者たちはその壁(まさに直接的な比喩)に挑み、それを乗り越え新たな世界へ飛び出していく。
そういうことがこの作品のテーマなのでしょう。
けれども、「進撃の巨人」に僕が期待していたのは、そういった今まで語られてきた物語の焼き直しではなかったんですよね。
今までに観たことがないような展開、独特な世界観でした。
ちなみに原作通りでなくてもいいと思っていました。
実写版ならではの斬新さ、独特さを求めていました。
一番最初に監督として名前があがっていた中島監督だったら、もっと人間の毒々しい欲望のようなものにフォーカスしていたと思うのですよね。
どちらかというとそういった方向性をこの作品には期待してみました。
後半のエレンが変化した巨人、鎧の巨人の対決シーンなどは、特撮に長く関わっていた樋口監督らしいとは思いましたが、「ウルトラマン」、庵野監督の「エヴァンゲリオン」などの作品でかつて見たという感じを受けました。
テクニカルにはミニチュア特撮とCGを組み合わせ、新しい技術を使っているからこそ実現できた映像なのでしょうけれど、新しさはあまり感じることはできませんでした。
既存の価値観をぶちこわしていくというのが作品のテーマであったにもかかわらず、作品自体が規制の枠組みの中に収まってしまっているという矛盾をこの作品に感じました。

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