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2015年8月22日 (土)

「王様と私」 エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ

今日は久しぶりに「午前10時の映画祭」に行ってきました。
ちょうど都合がよい時間にやっている映画がなかったので、たまたまなのですけれど。
本日上映されていたのは、名作ミュージカル「王様と私」。
この作品の中で歌われる「Shall We Dance?」は、みなさんがご存知の通り有名で知っていたのですが(この曲名の映画も日米で作られましたからね)、その元ネタである本作は実は見たことがなかったので、いい機会です。
少し前に渡辺謙さんがこちらのミュージカル版の王様役をニューヨークで英語で演じたのも話題になっていたので、興味をもっていました。

さすが、名作というのは長年の間、多くの人の鑑賞の目に耐えてきているだけあっていいですね。
特にシャム国の王様と、王室に家庭教師としてやってくるアンナの二人のキャラクターがとってもよいです。
ユル・ブリンナー演じるシャム(タイ)の王様は、近年周辺国が侵略の憂き目にあっているのを見ながら、国の近代化が必要であると感じ、王家の子供たちの教育のためにイギリスからアンナを呼び寄せます。
この王様、近代化についてとても進歩的な考えをもっている反面、とても男尊女卑的なものの見方をする人でした。
ただそれは悪気があるというより、それが当たり前の文化の中で過ごしてきたからと言えます。
とてもユーモアがありますし、まず基本的にはポジティブで行動的、そしてまた国民のために真剣に物事を考える統治者でもあります。
少々子供っぽいところもあって、そこがやんちゃ坊主のようでもあり、とても人間的に魅力のあるキャラクターでした。
もう一人の主人公アンナは、夫に先立たれてしまった女性です。
彼女は美しくて、教養もある女性であり、またヨーロッパ流の男女平等の精神を身につけた人物でもありました。
自分の感じたこと、信じることを曲げない意志の強い女性です(王様は「difficult Woman」(頑固な女)と言っていましたね)。
そういう価値観も立場も違う二人ですから、最初はことごとく対立してしまいます。
けれどもそれぞれが相手がまた真剣に物事を考え、そして臆せず行動していることに、(根本的な価値観は違うにせよ)、共感をしていきます。
子供っぽく気ままなように見える王様ですが、夜中に国の行く末を案じて考え込んでいたりもします。
「科学的なこと」にとても感心があり、彼は目をキラキラさせて子供のように語ります。
またアンナは勝気なだけではなく、人に対し思いやりがあるので、王家の妻たちや子供たちからとても慕われるようになっていくのを王様は見ています。
自分が悩んでいるときに、アンナがさりげなくアドバイスをしていてくれることにどれだけ心強く感じたでしょう。

あるとき、イギリス女王にシャム王が野蛮であると伝わりそうになり、そうなると侵略の危機が訪れるかもしれない。
そのようにならぬようシャム王が文化的であり進歩的であるということをイギリスその他に、アピールするために晩餐会を催すことになりました。
王様とアンナはこの晩餐会を二人で協力をして成功に導きます。
それぞれの出身、性別、文化、価値観は違っていても、それぞれ相手の人間そのものというものを二人は評価し合い、認め合いました。
そのときにあの「Shall We Dance?」が流れるんですね。
二人の間には恋愛感情的なものもあったかもしれません。
けれどそれ以上にお互いに人間として評価し合うことができたという感じかなと思いました。
明らかな違いというものはなくすことはできないけれど、それを越えて認め合うことはできるんですよね。
これは現代でも世界中でさまざまな軸で対立が起こっている世の中ですから、今この作品を観ても古びるようには感じませんでした。

ユル・ブリンナーはイキイキとしていて、ときには大人の男らしく、ときにはやんちゃな男の子のように演じていて良かったですね(口癖のようにエトセトラ、エトセトラ、エトセトラ・・・っていうのがかわいい)。
デボラ・カーは真剣に初めて観たのですが、美しい女優さんですよね。
昔の映画は際立った俳優さんたちが存在感があります。

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コメント

けふこたかはしさん、こんにちは!

コメント遅くなり申し訳有りません。
たまたま時間があったときに観てきました。
ユル・ブリンナーを大画面で観たのは初めてでした。
なかなか立派な頭をしていますよね(笑)。
映画の中でも存在感があり、ユル・ブリンナーの魅力が味わえる作品であったと思います。

投稿: はらやん | 2015年9月23日 (水) 11時18分

こんにちは。
おおお〜!あの麗しい王様を大画面でご覧になったとは!?
羨ましいです〜。
何しろユル・ブリンナーは私の初恋の禿ですから。
でも今までテレビの画面でしか見たことないんですよ。
一度でいいから大きな彼を観てみたいです。

投稿: けふこたかはし | 2015年8月29日 (土) 22時48分

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» 王様と私アレコレ 熾烈な禿ディスク争い展開中 [鬚禿観察日記ヒゲハゲカンサツニッキ]
渡辺謙がブロードウェイでこの「王様と私」の王様役を演じると聞き、久しぶりに私の初恋の禿ユル・ブリンナーの同名の映画を観たくなりました。UTubeでほんのチラリとだけ渡辺謙の王様の姿が見られましたが、なかなか麗しいハゲのようですね。 でもって色々ネット検索していたら、なんとチョウ・ユンファとジョディ・フォスターの「アンナと王様」という作品もあるというので、こちらも観てみました。以下いつも...... [続きを読む]

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