「ジュラシック・ワールド」 マイクル・クライトンの遺伝子を継ぐ
事前にすでに観た方からあまりよい評判を聞かなかったので、自分の中のハードルを下げて鑑賞してきました。
そのためか、意外と楽しめたんですよね。
ストーリーはいろいろ突っ込みたいところもありますが、本作は単純にアトラクションを楽しむような気持ちで観に行けばOKかなと。
そのため4DXで鑑賞したいところだったのですが、ネットでこの席が販売開始になると即完売してしまうようで、今回は仕方なくIMAX3Dでのトライです。
ストーリーとしての突っ込みどころとしては、凶暴な恐竜が逃げ出したときに、現場責任者が指令室を離れて子供を探しにいかんだろ、とか、CEOが自らヘリを操縦して恐竜を倒しにいかんだろ(「インディペンデンス・デイ」じゃあるまいし)とかいろいろあります。
また全体の構造としても「ジョーズ」や最初の「ジュラシック・パーク」をはじめとして、スピルバーグが得意とするパニックものの域を出るものではないので、目新しさはありません。
とはいえ、逆にそういったジャンル映画の王道の作りなので、安心してハラハラドキドキできて楽しめる作品になっていると思います。
そういう点でアトラクション的な映画としてはよくできていると思いました。
最初の「ジュラシック・パーク」は、恐竜を表現するために、作品中にリアルなCGを取り入れたエポックな作品でした。
90年代初期のその頃は「ターミネーター2」や「ジュラシック・パーク」等、CG技術の躍進が見られた時期でした。
それらの作品を初めて観た時の衝撃はかなり大きく「すごいものを観た!」という感じがしましたね。
しかし現在では作品中にCGを取り入れるのは至極当たり前になり、クオリティもその頃よりもかなりあがっているため、本作「ジュラシック・ワールド」を観てもあの頃のような衝撃はありません。
とはいえ、ストーリーの構造としては先に書いたようにパニックものの王道をしっかりと守って作っているために、外れはない感じはします。
このように基本的に本作はアトラクション映画として観に行くのが、よい作品であると思います。
しかしあえて本作にテーマ的なものを見出そうとすれば、「自然をコントロールできると考える人間の浅知恵をはるかに越えて、自然はふるまう」ということでしょうか。
本作では発展した遺伝子テクノロジーによって生み出された新種の恐竜が、人々を襲い始めます。
遺伝子技術や様々な設備、武器などで、人間は新種の恐竜を制御できると考えますが、しかしその予想を越えて、被害は拡大していってしまう。
状況に対しての打ち手が後手に回り、さらにそれ自体が状況を悪化させてしまう。
これは大震災直後の福島の原発での件とも共通しているように思います。
遺伝子技術にせよ、原子力技術にせよ、人間が100年前には想像できなかったような技術を使うようになり、コントロールができなくったその技術そのものに滅ぼされそうになってしまう。
このテーマは「ジュラシック・パーク」の原作者であるマイクル・クライトンの小説のテーマにたびたび出てくるものです。
そういう意味で「ジュラシック・ワールド」はマイクル・クライトンの遺伝子を引き継いでいる作品であるとも言えるでしょう。
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