「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 今を生きる
アドレナリンマックス!
まさに血沸き肉躍るとはこのことです。
このところ80年代の作品のリメイクが続いていますが、オリジナルを真正面からスケールアップした作品で好感度大です。
その世界観が「北斗の拳」をはじめ多くの作品に多大なる影響を与えた「マッドマックス2」ですから、期待度が大きかったですが、見事にそのハードルを越えてきました。
核戦争の影響により、荒廃した地球。
水とガソリンこそが、まさにこの世界の血脈。
それを支配できる者こそが人々の王となる、弱肉強食の世界。
しかし、潔いほどにこれらの設定を細かく説明することがありません。
オープニングから、主人公マックスたちが極悪非道の悪党どもの支配から逃れ、生き延び、そして牙を剥く姿のみを描いていく。
そこには人間同士のスマートな戦いの片鱗はなく、血と汗とオイルとガソリンにまみれた獣のバトル。
荒野を疾駆するトレーラーのエンジン音は獣の咆哮にも聞こえます。
敵も味方もただ生き延びるだけのために、拳を振るい、銃を撃つ。
一緒に観に行った相方は途中で寝ておりました。
あの爆音の中でよく寝れるなあと思いましたが、本人いわく「ずっと戦っているだけでお話しがなくてつまらない」とのこと。
これはある部分は正しいかなと。
この作品は設定を説明するということにエネルギーを割いていません。
放射能で汚染された地球がどのようになってしまい、社会がどう変わっているか。
土が汚染され、遺伝子異常の子供たちが生まれる中で、人々の行動はどのような変化があるのか。
世界の背景とその結果については感じさせるだけで、説明はしません。
また主人公マックスについても時折差し込まれるフラッシュバックにより、彼がどのような生き方をしていてきたのかを感じさせるだけ。
世界にしても、人物にしても過去の説明はほとんどしない。
描くのは、ただ生き残ろうとする今の人々の生き様だけ。
それがとても潔い。
そのことが、彼らが生きるだけで精いっぱいで、彼らには「今」しかないということが伝わってきます。
もしかすると、フュリオサだけが「希望」という名の「未来」が見えたのかもしれません。
マックスも「今」だけを生きてきた男です。
けれどフュリオサを通じて、彼も「未来」を感じることができたのかもしれない。
だからこそマックスは彼女の「未来」を守るために戦えたのでしょう。
冒頭ではマックスからは空虚さしか感じられませんでしたが、砦を去る時の彼の姿には確かに「希望」が感じられました。
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