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2015年4月17日 (金)

「イントゥ・ザ・ウッズ」 森が象徴するもの

おとぎ話やディズニーのアニメでお馴染みの「シンデレラ」「赤ずきん」「ジャックと豆の木」「塔の上のラプンツェル」のお話をクロスオーバーさせたのが、本作「イントゥ・ザ・ウッズ」です。
もともとはブロードウェイのミュージカルということで、全編ミュージカル仕立てとなっています。
監督をミュージカル作品で今までも実績があるロブ・マーシャルが担っています。
おとぎ話やディズニーというと子供向けでハッピーエンドというイメージがありますが、本作はより大人向きであり、必ずしもハッピーエンドであるわけではありません。
本作には「Wish(願い)」という言葉が頻繁に出てきます。
本作に登場するおとぎ話の主人公たちはそれぞれに「願いを叶えて」と言います。
しかし、「願い」というものは自分の望むことを実現したいと思うこと。
つまりそれは自分の「欲望」を実現したいと思うことでもあるのです。
自分たちの子供が欲しいという願い、欲望。
誰かに愛されたいという願い、欲望。
幸せな生活を送りたいという願い、欲望。
ほとんどの登場人物が願い、欲望を持っています。
その欲望を叶えるため、人はわがままにもなり、エゴを通そうとする。
それは他人の願い、欲望と衝突することにもなります。
もっともこの物語で願いを強く持ち、欲望を叶えたいと思っていて、そのためには他人の犠牲は厭わないと思っているは、メリル・ストリープが演じる魔女ではあります。
しかし、他の登場人物も少なからずそういうところがあるのですね。
だからこの映画は観ていてなんとなく落ちつかないというか、居心地の悪い気まずさを感じるのです。
パン屋の夫婦は子供が欲しいと願い、それを叶えるためには4つのアイテムを揃えなければならないと言われます。
そのためにはそのアイテムを人から奪うしかありません。
彼らは願いを叶えるためにそれを実行していくわけです。
願いのために誰かのものを奪う。
おとぎ話ではピュアな心の持ち主として語られるシンデレラも、愛を手に入れたいと思いながらも、生来の優柔不断さが出てきて、自分では決めないで王子にこの愛の行方を決めさせようとします。
これはピュアとは言えず、とても打算さを感じます。
すべての登場人物が多かれ少なかれこのような打算さがあったり、自分のことを優先させたりということがあります。
だからこの作品を観ていて、共感を感じるということにはならず、居心地の悪い不愉快さを感じます。
おそらくその不愉快さというのは作品の狙いであって、願いというのもは決してピュアなものというわけではなく、少なからず自分のエゴが現れる都合の良いものであり、それは他人の願いに比べて優先されうるものであるというシニカルな感覚が感じられます。
「イントゥ・ザ・ウッズ」のウッズ=深く暗い森は、おとぎ話によく登場する舞台であるということのほかに、人の心の暗い部分を象徴してもいるのでしょう。

ジョニー・デップって予告ではどーんと名前がでていましたが、ほんのちょっとだけしか出なかったのですね。
少々拍子抜け・・・。

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