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2015年4月15日 (水)

「ハードナッツ! ~数学girlの恋する事件簿~」 「TRICK」との共通点

NHKのBSドラマとして放映し、その後地上波でもオンエアされたドラマです(地上波でオンエアされたのは昨年なので、観てからレビューがだいぶ経ってしまっていますが・・・)。
プロデューサーの一人に東宝の蒔田光治さんが名前を連ねています。
蒔田さんと言えば「TRICK」のプロデューサーとして知られていますが、本作にも「TRICK」に通じる部分がいくつか見受けられます。

「TRICK」も「ハードナッツ!」の共通点を挙げるとすると、二作とも主人公は見た目は美人にも関わらず、その中身はというとちょっと(だいぶ?)変わった女性。
というより変人というところでしょうか。
「TRICK」の山田奈緒子は自称美人マジシャンですが、年がら年中貧乏で、欲深い性格。
その欲深さから、事件に巻き込まれちゃったりするわけですね。
彼女はマジシャンという職業柄、一見摩訶不思議にみえるような超能力にも、その裏には説明できる”タネ”があるというスタンスです。
「ハードナッツ!」の主人公難波くるみまた変わった習性を持つ女子大生です。
彼女は数学に天才的な才能は持っていますが、コミュニケーション能力が乏しい女の子。
でも女の子らしく恋する乙女な部分も持っています。
事件を解決するコンビとなる伴田に恋していて、なにかとつけ妄想癖あり。
主人公が事件解決に向けてペアを組むのが、主人公とは全く違うタイプの男性です。
全く別のタイプの人間がコンビを組むいうのはバディものでは定番ですよね。
「TRICK」で山田奈緒子と組むのは、上田次郎という自称天才物理学者です。
これまた山田とは違うタイプの変人ですが、まさに見たまんまのデコボココンビがドラマをかき回していたと言えます。
「ハードナッツ!」でくるみとコンビを組むのは、先にも書いたように伴田という刑事になります。
上田のような変人ではありませんが、謎の多い男として描かれていて、その部分がシリーズ後半を盛り上げる要素になっていきます。

「TRICK」の世界観はオカルト的で不可思議な世界観です。
山田も上田もすべては、手品的にしろ、科学的にしろ、なにかしら説明できるという考え方の持ち主ですが、それでも説明しきれないことがあるというのが作品のベースにあります(山田のルーツである黒門島関連のエピソード等)。
「ハードナッツ!」は、すべては数式で説明できるというだけあって、あくまで理性的。
一見不思議そうに見える出来事も、くるみは数学的な確率論や方程式で解き明かしていきます。
数学が苦手な人にとっては不可思議な出来事も、別のものの見方(数学的)で全く別の視点が開けてくる。
これは「TRICK」にも通じるところであると思います。

「TRICK」は一癖も二癖もあるキャラクター設定を演じる俳優がそれを膨らませ、さらには周辺のキャラクターもそれの上をいくようにエキセントリック化し、また演出家もまた癖のある映像・音楽で演出していたため、いい意味でのエスカレーションを起こしていたような気がします。
対して「ハードナッツ!」は主人公のくるみというキャラクターは変人ですが、その変わった感じを演じる橋本愛さんが一生懸命演じようとしているのは伝わってくるのですが、ややその演技はちょっと滑っている感じがありました。
橋本さんはシリアスな演技は上手だと思いますが、こういうコメディっぽいのは苦手なのかな。

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