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2015年2月28日 (土)

「ビッグ・アイズ」 奪われたアイデンティティ

主人公のマーガレットが劇中で、自分が描いた絵は自分の子供のようなものと言う。
すなわち彼女にとって、絵は自分のアイデンティティの分身のようなものなのだろう。
彼女は内気で引っ込み思案な性格でありながらも、その中身は感受性が高く、豊かな想像力を持つ女性でした。
引っ込み思案だからこそ、自分の内にある気持ちを表現するために絵を描き続けていたのかもしれません。
彼女は表現をしたいだけであって、彼女自身が認められたいという気持ちを持っていなかったと思います。
しかし、ウォルターが自分の作品を自分のものであるように振る舞い、同じように嘘をつくことを強要されるにつれ、自分のアイデンティティが自分のものではないように感じてきたのではないでしょうか。
絵を描いている自分は、はたして自分なのか。
自分の自我の発露であった「ビッグ・アイズ」は、ウォルターの作品であるという。
そうしたら自分とはどこに行ってしまったのか。
マーガレットはアイデンティティ喪失の危機にあったのかもしれません。
逆に夫であるウォルターは高い社会適応性を持ちながらも、その内面は空虚でした。
彼自身もそれに気づいていたのでしょう。
しかし彼は芸術家が持つ豊かな個性、才能に憧れを持っていた。
憧れを持っていながらも、その才能を持ち合わせていないことを知っている辛さ。
その辛さを封じ込めるために、彼は才能あるアーティストの「身代わり」になったのでしょうか。
彼自身、自分でついた嘘をいつしか自分自身でも信じてしまっている風でもあります。
偽物のアイデンティティが彼の中では本物になっていたのかもしれません。
ウォルター自身も本来の自分のアイデンティティを失う、というより封殺していたように思います(クリストフ・ヴァルツのあの満面の作り笑いが見事)。
この夫婦は互いに己のアイデンティティを喪失しようとしていた。
マーガレットの自我は消されることに抵抗し本当の自分であろうとした。
ウォルターは自我を封じ込め他人になろうとする。
その二人の葛藤。
ウォルターが最後まで自分に対してついた嘘を、自分で気づくことなく一生を終えたことが哀れに感じました。
彼は結局誰であったのか。

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