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2015年1月 6日 (火)

「軍師官兵衛」 男の憧れの人生

年が明けて今年の大河ドラマ「花燃ゆ」が始まったところで、ようやく前作「軍師官兵衛」のレビューです。
個人的に大河ドラマで戦国時代を舞台にした作品は、この数年あたりがないなあという印象でした。
本作についてもスタートした当初はそれほど面白いとは思いませんでした。
戦国時代の物語はそれこそ何度も見ているため、出来事それ自体には新鮮味はありません。
だからこそお馴染みの登場人物をどのような描き方をするかというところがポイントであると思うのですが、はじめはそれほど魅力的には思いませんでした。
本作の演出は割と陳腐なところがあって、正直「ださい演出だなあ」と感じていたところがあります。
しかし、中盤官兵衛が秀吉の軍師となっていくあたりから俄然面白くなってきました。
この作品がスタートする前に、たしか岡田准一さんがインタビューで、「サラリーマンの方にも共感してもらえるような物語になる」といったことを答えていたように思います。
これを聞いたとき、(当時「半沢直樹」がブームだったので)、「戦国時代の時代劇で現代サラリーマンの風刺などを見せられてもなあ」と思ったのを覚えています。
しかし、一年間観終えると確かにそのような物語になっていると思い、狙った通りの作品に仕上がったのだなと感じました。
天賦の才能を持つリーダーの元で、自分の能力を最大限に引き出してもらえる喜び。
己の力量を発揮し、それが思う通りに転がっていくときに感じる自信。
今までのとおりに評価をされてもらえない境遇の時の苦悩。
ライバルにいいようにされ、より困難な道を歩まなければいけないときの悔しさ。
自分を信じる部下たちが支えてくれ、活躍をしてくれるときの誇らしさ。
男が社会で仕事をする中で感じる様々な気持ちが、確かに黒田官兵衛という人物の生き様から同じように感じることができました。
確かにサラリーマンが共感できる物語になっています。
物語の終盤には、今まで仕えた人々がいなくなり、自分の才能そして野望を発揮できる機会を官兵衛は得ます。
そのときの官兵衛を演じた岡田准一さんの演技、表情が良かった。
自分の思うがままに振る舞う喜び、というものがとてもうまく表現できていたと思います。
俗説的には官兵衛も天下を狙ったという話がありますが、歴史的にはそれを積極的に認めるような証拠はないというのを本で読んだ気がします。
ですので本作で描かれた官兵衛は事実とは違うのかもしれないですが、最後の最後に野望のままに振る舞うことができた官兵衛の姿に憧れを感じる人も多いのではないかと思いました。
その野望は成就せず、そしてそれを止めた男の一人が息子の長政であったというのも、男としては感じるところがあるのではないでしょうか。
自分の息子の成長を身をもって感じられるというのは、男親としての喜びでもあるでしょう。
そういう意味で黒田官兵衛の生き様は男の憧れの人生でもあるかもしれません。

13年大河ドラマ「八重の桜」の記事はこちら→

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