「ドラキュラZERO」 ルーク・エヴァンスははまり役
原題は「DORACULA UNTOLD」。
「UNTOLD」は「語られていない」という意味なので、和訳すると「誰も知らないドラキュラ」といったところでしょうか。
バンパイアは映画では人気のある題材で、メジャー級からB級・C級まで今までもたくさんの作品が作られています。
多くの作品がありますから、ハズレの作品もあるわけで(いろいろな作品が思い浮かぶなあ)。
本作は想像していたよりも、面白かったです。
主人公役のルーク・エヴァンスが役にはまっていて良かった。
もちろん主人公はのちにドラキュラと呼ばれる男、ヴラドですが、いままでいろいろな作品で描かれるドラキュラとは一味違うキャラクターでした。
ヴラドはトランシルヴァニアの領主の息子ですが、幼い頃に人質としてオスマン帝国に送られます。
そこで彼は殺人マシーンのように徹底的に訓練され、成長してから残虐な行いをし、恐れらます。
しかし彼は改心し、帝国から離脱し、故郷に戻り、民を守るため君主につくのです。
ヴラドが戻ってから、領地はしばらく平和な日々が続きました。
しかし、再びオスマン帝国が大軍を率い、彼の領地に迫ります。
そのままでは帝国に蹂躙されてしまう。
ヴラドは魔物の力を手にいれるため、禁断の山に登っていきます・・・。
主人公ヴラドはかつては串刺し公として恐れられるほどの残虐さも持ちつつ、妻子や民衆を身を呈して守ろうとする正義の心をもった人物です。
いわば一つの体の中に善と悪の心を内包した男と言っていいかもしれません。
さらに魔物の力を手にいれた後は、血への渇望感という野獣の衝動をも、うちに持つわけです。
ルーク・エヴァンスはワイルドさと知性とを感じさせる役者さんだと思います。
今までの作品でも「ホビット」のような頼りになる役もやりますし、「ワイルド・スピード」のような敵役もこなせます。
今回のヴラドはさきほど書いたように善と悪を併せ持った役(二面性ともちょっと違う)なのですが、この役に彼の持つ個性がぴったりとはまったように思いました。
<ここから先はネタバレ>
ヴラドは妻子や民衆を守るために、その運命を捧げ魔物となるわけです。
しかし、そのことにより民衆は彼に石を投げ、彼を焼きます。
またヴラドは愛する妻を結局は救うことをできず、さらには彼女の血を吸うこととなり、魔物としての運命が定まってしまいます。
彼は息子の命以外は、救おうとしたものを結果的には救うことができずに、魔物として生きていかなくてはいけなくなりました。
本作のヴラドはダークヒーローと呼ばれるタイプのキャラクターだと思いますが、ヒーローというには切ないまでになにもかにも失ってしまうのですよね。
個人的には彼が民のために戦っているのに、人々が彼に石を投げる場面がせつなくて好き。
そういういう点で新しいタイプのヒーローだと感じました。
結局彼の民たちは多くをオスマン帝国の兵士たちに殺されてしまうのですが、生き残った人々に「復讐したいか」と問い、その血を吸っていく場面がありました。
このシーンを観ていて「魔界転生」で天草四郎が無念をもって死んだ人々を魔界衆に誘っていく場面を思い出しました。
このシーンはヴラドの悪の面が現れていてまた良いのですよね。
ラストは現代のシーンになっていました。
続きを予感させる終わり方でしたので、次回作はあるのかな。
次回作あれば観てみたいです。
| 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (40)
最近のコメント