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2014年8月24日 (日)

「マダム・イン・ニューヨーク」 May I ?

実は海外に行くのがすごく苦手。
世界遺産とかいろんなところを見てみたいとは思いますが、言葉が通じない環境に行くのが恐かったりします。
実際、仕事でやむなく海外行くことはありますけれど、プライベートで海外旅行をしたことはないのです。
とはいえ仕事で行かねばならないことはあるので、仕方なく行きますが、ひとりで現地まで行く時のドキドキったら。
まさに本作で一人でニューヨークに行かされるシャシの気持ち、よ〜くわかります。
空港やお店でのやりとりとかいちいちドキマギしちゃいますもんね。
海外好きの方からすれば「それも醍醐味!」と言われそうですけれど・・・。

さて、本作はお料理はとても得意だけれどそれ以外は普通のインド人の主婦シャシが、ひょんなことからニューヨークに一人で行かなければいけなくなり、そこでの体験を描いています。
しかし、ただの主婦のニューヨーク探検記という内容ではありません。
シャシは良き妻であり、良き母親であろうと一家を支えてきました。
そのこと自体はシャシも望んでいたことで、そうありたいという姿であったと思います。
けれど、夫は愛情深くはありますが、仕事に忙しいために家庭のことはほとんどシャシに任せっきり。
またインターナショナルスクールに通う娘は、母親と対立しやすい年頃で、英語を話せないシャシのことをバカにしているようなことも言います。
良き妻であり、良き母親であろうとがんばっているのに、家族は自分のことを尊敬してくれていない。
ただの「妻」、ただの「母親」という役割の人、としか見てくれてないのではないのか。
インドだけでなくってこれは世界のどこでも女性に共通する悩みなのでしょうね。
ニューヨークを訪れたシャシですが、英語を話せないことでいろいろとトラブルに合いますけれど、一念発起して英会話スクールに入学します。
そこには同じように英語を学びたいと考えている、世界各地出身の性別も年齢も様々な人々がいました。
彼らは、シャシのことをただの「妻」、ただの「母親」という役割の人としてではなく、シャシという個性のある一人の個人として彼女を見てくれました。
彼らは片言ながらも自分の気持ちを伝えようとがんばり、お互いにコミュニケーションをとっていく。
そのことによって自分のことが、相手に伝わっていきます。
他の人ではない自分を相手に理解をしてもらえていくんですね。
シャシは他の生徒といっしょに学ぶことにより、英語だけでなく自分のことをしっかり相手にわかってもらうように伝えることを学んでいるようにも見えました。
最後の結婚式の場面。
シャシにスピーチをしてもらおうと声がかかりますが、夫は妻は英語が話せないからと断ろうとします。
けれどシャシは、「May I?」と言い、立ち上がります。
そして彼女は英語で凛として新郎新婦にお祝いの言葉を述べるのです。
家族は彼女が英語を話すということに驚いただけではなく、いつも「妻」「母親」という役割としてしか見ていなかったシャシが自分の気持ちを自分の言葉で堂々と話すことにも驚いたのではないでしょうか。
夫も娘もいかに自分の妻や母親の気持ちがわかっていなかったに気づいたのでしょう。
そしてまた、自信をもってスピーチをする彼女の姿に誇らしさを感じたに違いありません。
自分の妻、自分の母親は、素晴らしい女性だと。

スクールの友人たちのキャラクター、それぞれよかったですよね。
特にデヴィッド先生はGood!
すごく善良さを感じるキャラクターで、シャシが伸び伸びと学ぶことができたのは彼のおかげではないかと。
シャシやローランが、自分のほんとの気持ちを伝えたいけれど、伝わってもほしくもないという微妙な気持ちの時、相手がわからない母国語で話すというシチュエーションがありましたけれど、ここがけっこう好き。
なんかわかるなって。

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コメント

Nakajiさん、こんばんは!

スピーチ、良かったですよね。
その姿を見て、妻であり母である女性がとても素晴らしい人だと気づく家族の様子もよかったです。
たがいに認められあう家族でありたいですね。

投稿: はらやん | 2014年11月20日 (木) 22時16分

こんにちは。
最後のスピーチ泣けました。
なんかこの人のがんばったんだな~って思いながら見てたら言葉に感動しちゃいました。

本当に彼女の年齢にびっくりでしたね。

投稿: Nakaji | 2014年11月19日 (水) 19時43分

sakuraiさん、こんにちは!

まだまだ伝統的な社会制度が強い国ですから、男尊女卑というのは日本以上にあるのかもしれません。
それでもシャシがイキイキとしていく姿は見ていて晴れ晴れとした気持ちになりました。
シャシの女優さん綺麗でしたね。
インドの女優さんはほんとお顔が整っていて、いつまでも美しい!

投稿: はらやん | 2014年10月31日 (金) 09時00分

あの家族は、ちょっとどうかと思いましたが、インドでは普通によくある風景なんでしょうかね。
いろんなことが含まれてて、とっても面白かったです。
何と言っても、シャシの役者さんの年齢にびっくりでしたが!

投稿: sakurai | 2014年10月29日 (水) 09時34分

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