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2014年7月 5日 (土)

「青天の霹靂」 生かされていることを知る

<ネタバレしているのでご注意ください>

主人公、晴夫は売れないマジシャン。
彼は20年も場末のマジックバーで働いていますが、後輩にも追い抜かれてバカにされ、みじめさを感じながら日々悶々と生きていました。
彼は生まれてすぐに母親に捨てられ、いい加減な父親に育てられましたが、高校を卒業してすぐに家を飛び出し、それからずっと一人で暮らし。
彼は自分のみじめな人生は、自分を捨てた母、どうしようもない父のせいだと思っていました。
そんなとき、彼に警察から連絡が入り、ホームレスであった父親が亡くなったとの知らせを受けたのです。
父親のお骨を抱きながら、彼のダンボールハウスを訪れたとき、晴夫が見つけたのは若き父が赤ん坊だった自分を抱いている写真でした。
自分のことなど気にしていないと思っていた父親の思いに触れた、晴夫の心には自分でもよく整理ができない「後悔」のような思いがわき上がったのでしょう。
そんなとき。
彼を青天の霹靂が直撃します。
目が覚めたとき、晴夫はなんと昭和48年にタイムスリップしていました。
それは晴夫が生まれた年。
そして晴夫は若き父と母と出会います。

タイムスリップものにはいくつも名作があります。
主人公が若き父と母に会うというプロットで有名な作品は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。
父と母が結婚しなかったら、自分は生まれない!ということで、二人をくっつけようとする主人公マーティの奮闘ぶりがおもしろい作品ですよね。
タイムスリップものの物語がハラハラドキドキするのは「過去を変えたら未来も変わる」という設定が大きな役割を担っている気がします。
しかし、本作では晴夫が過去で何をしようとも(というより晴夫は未来に戻る気はさらさらなかった)、未来は変わりませんでした。
晴夫が物心ついても母親はおらず、父親はラブホテルの従業員でありその後は落ちぶれてホームレスになるということもそのまま。
晴夫が未来に戻っても彼のみじめな生活は変わらない。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマーティのようにバラ色の生活が待っていたわけではありません。
けれども、変わったことがひとつだけあります。
それは晴夫の自分の生についての考え方。
彼はずっと自分を捨てた母、どうしようもない父へ軽蔑のような気持ちを抱いていました。
自分を望んでいない両親から生まれたから、自分は生きる意味がない。
だからみじめな人生を歩いているのだと。
けれど過去へのタイムスリップで彼は知りました。
命をかけて、自分のことを生んでくれた愛情深い母親のこと。
その母親を不器用ながらも愛していた父親のこと。
自分の生は決して望まれないものではなかった。
むしろ、自分の命をかけて、愛するもの存在をかけて、両親が望んだ生であったと知りました。
晴夫が未来に戻っても、その生活は変わっていません。
しかし彼の人生に対する向き合い方は変わりました。
自分が生かされていると知った晴夫は、きっと自分の力でこの先の未来を変えていくのだと思います。

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コメント

ミス・マープルさん、こんばんは!

昭和48年の頃は僕もうっすらと記憶がある時代なので、懐かしい感じがしましたね。
ストレートな親子の物語でじんときました。

投稿: はらやん | 2015年1月18日 (日) 21時38分

ストーリーは予告編で大体わかってしまいましたが、ラストのひねりがよかったですね。
昭和48年の出来事が上手い具合に描かれていて懐かしかったです。見終わってほんのり心が温まる感じがしました。

投稿: ミス・マープル | 2015年1月18日 (日) 11時38分

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