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2014年4月19日 (土)

「リベンジ・マッチ」 再戦で手に入れるもの

名作ボクシング映画「ロッキー」と「レイジング・ブル」。
それぞれでロッキー・バルボアを演じたシルベスター・スタローン、ジェイク・ラモッタを演じたロバート・デ・ニーロがライバルとなり60歳を越えた年齢でのリベンジ・マッチを行う!
映画ファンのツボをつく、なるほどという企画を思いつきましたね。
今回スタローンはレーザーを、デ・ニーロはキッドというボクサーを演じますが、それぞれの今までの作品を髣髴とさせる性格設定となっていて、ほんとにあの作品から30年後の彼らが戦うというような感じにもなっているところが気が利いています。
そういったつかみの設定だけでなく、中のシナリオの設定もよくできています。
互いに一度しか負けたことがなく、レーザーにとってもキッドにとっても、その一敗はお互いでした。
どちらがほんとうに強いのか決着をつけることなくレーザーは引退してしまい、それから30年が経ってしまいました。
レーザーはボクシングから背を向けて生きてきていて、キッドは事業では成功するものの何かし残しているような未充足感を感じています。
そしてふとしたことがきっかけになり企画が持ち上がった二人の「リベンジ・マッチ」。
再び彼らは拳を戦わせることになるのか・・・。
レーザーがボクシングを引退したのは、恋人であったサリーをキッドに寝取られてしまったから。
愛する者を奪われたことでレーザーは傷つき、そのため彼女を奪ったキッドの最も大切なもの=ボクシングを奪うためにボクシングを引退することとしたのです。
しかしレーザーにとってもボクシングは大切なものでした。
だから悔やまぬようにテレビも買わず、ボクシングを自分の目に触れぬようにしていました。
またサリーの謝罪も決して受け入れようとしませんでした。
レーザーは彼の頑さから、ずっと愛するもの=サリーとボクシングから、自らを遠ざけていたのです。
かたやキッドは。
サリーがキッドに身を預けたのは、愛する自分を差し置いてボクシングにストイックに向かうレーザーに当てこするためでした。
しかしそういった行為によりキッドとの間に子を宿してしまいます。
キッドは子ができたことに責任を感じ、サリーに結婚を申し出ますが、レーザーを愛するサリーに拒絶されます。
それによりキッドはずっと我が子とは離ればなれに暮らすことになります。
キッドとサリーの子BJは、リベンジ・マッチの話が出た頃に、初めて本当の父親であるキッドのことを聞き、彼の元を訪れます。
キッドについては初めて彼と出会うことになりました。
いままで何も父親らしいことをできなかったキッドですが、BJが彼のトレーナーをやってくれることとなり、初めて父子らしい関係をできるようになったのです。
しかし彼のちゃらんぽらんな性格が災いし、BJの子供(つまりは彼の孫)を危ない目に合わせてしまい、BJ
から軽蔑されてしまいます。
そういった状況の中で、レーザーとキッドは再試合に挑みます。
その試合は彼らが大事にしていたもの=ボクシングを再び取り戻すための場であったわけですが、もうひとつの大事なもの、レーザーにとっては愛する者=サリーとの愛、キッドにとっては親子の愛を得るための場でもあったのです。
設定としてはレーザーの愛する対象であるサリー、キッドにとってのその対象であるBJが母子であるというのが気が利いていると思いました。
これによりレーザーの側の視点、キッドの側の視点が上手く絡み合う形にできたと思います。
ということで脚本は割と良くできているなと思ったのですけれど、事前のつかみで期待した感じほど物語が大きく盛り上がる感じがしなかったのは確かです。
ラストはもう少しベタでもいいから煽る感じでもよかったかな、「ロッキー」のように。
老人自虐的なコメディ要素も楽しいかった(デ・ニーロはこういうコメディタッチも上手です)のですが、こういうのを活かしつつ、感動的に終わらすのもできるようにおもいました、「ミッドナイト・ラン」のように。
主演の二人ともいままで実績がある俳優ですし、名作と言われるいい作品にも出ています。
それだけで期待値があがってしまうので、演出面でもう少しがんばってもらいたかったかなという感じがしました。

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