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2014年3月21日 (金)

「ロボコップ(2014)」 怒りのエネルギーが薄い

1987年制作のポール・ヴァーホーベン監督の「ロボコップ」のリメイクです。
デトロイトの警官マーフィは瀕死の重傷を負いますが、企業オムニコープ社に改造され、半分ロボット、半分人間の”ロボコップ”として街の平穏を守るために生まれ変わります。
ロボコップのデザインは、1987年版のイメージを残しつつも、よりシャープに現代的にリデザインされていてかっこいい。
マーフィが改造されてロボコップとなること、そして彼の敵となるのが、デトロイトの犯罪組織、オムニコープ社、そして警察であるという基本設定は前作と変わりませんが、それらの物語の中での使い方は全く異なります。
ポール・ヴァーホーベンの「ロボコップ」を観た時は、かなり印象的であったと記憶しています。
ロボの警官ということでなんとなくスーパーヒーローものようなイメージで観に行ったのですが、割とハードであったため驚いたのです。
ハリウッドのこの手の映画にあるような予定調和的な気持ちの良さというのが1987年版にはなく、容赦のないバイオレンス、救いのない物語というのが、この作品の基調となっていました。
突然自らの肉体を人間性と奪われてしまった理不尽な暴力(犯罪組織による肉体への暴力、オムニコープ社による精神への暴力)、そしてロボコップとなったマーフィにとって家族の絆は失ったものであり取り戻す可能性がないという救いのなさ(そして唯一の理解者となった相棒ナンシーも殺されるという救いのなさ)。
この二つの要素はその後のヴァーホーベンの作品の特徴となっていきます。
1987年版の「ロボコップ」はこのようなヴァーホーベンのテイストによりカルト的な人気を誇りますが、今回のリメイク版についてはこのようなテイストはかなり薄味になっています。
物語に救いがあるという点で、ハリウッドらしい作品となっているかと思います(いいか悪いか別にして)。
前作といろいろ違いがあると書きましたが、一つ大きな違いはマーフィがロボコップになったときに、自らの記憶を保持しているかどうかというのがあるかと思います。
1987年版についてはロボコップとなったマーフィはマーフィとしての自我はない。
自らの受けた暴力の自覚もない中で、その相手の手足となって働くことになるわけです。
肉体だけでなく、精神すら支配されていた。
そのことに気づいた時のマーフィの怒りはとてつもないもので、そういった激しい感情に突き動かされるからこそのああいったバイオレンス描写になるわけですね。
本作は肉体へ暴力を受けましたが、精神的な支配は完全ではありません。
途中、コントロールされることはありつつも、マーフィは多くの人(オムニコープ社の関係者以外)にマーフィとして扱われます。
前作ではナンシー以外はロボコップという機械としてしか見てもらえなかったのです。
自らの立ち位置をすべて否定されている前作に比べ、本作が救いがあるというのはこういった点です。
あともう一つ違いは敵側ですね。
上で書いたように敵側は犯罪組織、オムニコープ社、警察となるのは共通です。
ただそれらの関係性はちょっと違う。
前作は最後にロボコップと戦うのは犯罪組織でした。
警察はオムニコープ社の手足のようなもので、そしてオムニコープ社はすべてを仕切っているように見えつつもあっさりと退場、結果的には最も暴力的な犯罪組織が最後にロボコップと対決するのです。
ラストの戦いはまさに暴力VS暴力という凄惨なものになるわけですが、怒りをぶつけ合う荒々しい戦いになるわけですね。
過剰ともいうべきバイオレンスは、低迷していた80年代アメリカの袋小路感がでていたのかもしれません。
本作では犯罪組織はほんとに手足のような状態であっさり退治され、警察は汚職まみれだったことは判明するも役割は薄く、真の敵はオムニコープ社となっています。
しかしオムニコープ社の役員たちも、悪を行うとかそういった強さがあるというのではなく、ただビジネスを拡大するため都合の良いようにマーフィ=ロボコップを手駒として扱ったということだけなんですよね。
彼らからするとビジネスをやってきて、その度ごとにいろいろ苦しい状況はありつつも、なんとか上手く立ち回ってきていた。
今回もそのように立ち回れるという感じだったのかもしれません。
悪を行っている自覚はさらさらなかったのではないでしょうか。
ですので、マーフィの怒りというのもなんというか暖簾に腕押し、糠に釘という感じで手応えがない感がありました。
そのため前作に比べて、爆発するような怒りのエネルギーのようなものが薄い印象なのですね。
万人ウケするような感じではありますが、ヴァーホーベンの「ロボコップ」の洗礼を受けている身としてはちょっと薄味に感じたのも確かです。

ロボコップのキメ台詞「Thank You Cooperation」があったのは嬉しかったです。
あとテーマも復活していましたね。
確か「2」「3」はあのテーマ音楽はなかったのですよね。

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コメント

メビウスさん、こんばんは!

ロボコップのデザインは現代的にクールになりましたよね。
以前のものは今観るとやや野暮ったい感じにも見えます。
今回はいろんな描写がソフトになっていましたよね。
ヴァーホーベン版を初めて観たときは、あのようなヴァイオレンス描写はまだ珍しい方だったので、驚いた記憶があります。
今となってはあの程度は普通なのですけれどね・・・。

投稿: はらやん | 2014年3月25日 (火) 23時02分

はらやんさんこんばんわ♪TB有難うございました♪

自分も今回のリブート版のロボコップのデザインは好きでしたね^^機能的で洗練されたデザインにも見えちゃいましたし、カラーリングもブラックにした所がちょっと挑戦意欲も見えて好感が持てました♪・・ただ『ロボットらしさ』は旧作の方が上かもしれませんね?(笑

その旧作と比べれば本作は色んな相違もあるようで、暴力描写やバイオレンスの薄さもその1つかと思いますが、自分はちょっと痛いモノが苦手なので、これくらいの薄味がちょうど良く感じてしまいましたw

投稿: メビウス | 2014年3月23日 (日) 22時40分

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