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2014年2月 1日 (土)

「黒執事」 天使の欠片

人気コミックの映画化作品ですが、原作は未見です。
ですので作品に関しての知識は事前に一切なく、観賞しました。
近未来の某都市で連続の怪死事件が発生、それを闇の貴族、幻峰清玄とその執事セバスチャンがその事件の解決に挑みます。
セバスチャンは実は悪魔で、清玄と魂の契約をしています。
清玄は両親の敵へ復讐の成就を願い悪魔と契約、セバスチャンは清玄の願いが叶ってその魂を喰らうまで彼に仕えるということとなったのです。
怪死事件とその背景が解き明かされていくというのが、物語の主軸となりますが、観ていると「なんで事件の首謀者はわざわざこんなに複雑な事件にするのかしらん?」と思ったりして。
ま、一般的にミステリーというのはそういうところがあるから、まあいいか。
もうちょいおもしろくできそうな感じはしましたけれどね。

興味深かったのは設定ですね。
セバスチャンは悪魔であり、人の魂を喰らう。
彼が好むのはより汚れ黒くなった人の魂。
だからこそ清玄が復讐を成し遂げようとするのを手伝い、それにより彼(彼女か)の魂が汚れていくことを望むのです。
自分が食べる生き物を肥え太らせようとする感覚に近いかもしれません。
彼の目線は人を超越しているもので、人間を極めて客観的に捉えています。
人は基本的に利己主義であり、自分のためには他人を蹴落とす。
元々そのように汚れた魂を持っているのが人間であると。
そして多くの人は自らが汚れた魂を持っているということの自覚がない。
清玄は復讐のために自らの魂が堕ちることを厭いません。
しかし彼は自分の魂が汚れることに自覚的です。
それゆえか、逆説的に彼の魂は汚れない。
自らの命、魂はいずれ果て、悪魔に喰らわれるという覚悟があるからか、自分を犠牲にし他者を守る。
魂が汚れるというのは、他者を犠牲にして自分を守るということ。
清玄には(自分は必ず地獄に堕ちるから)自分を守る必要がない、ゆえに自らを犠牲にすることは厭わない。
汚れること恐れないから、清い。
セバスチャンは人間を汚れた生き物だと見下していますが、その視線の中には人の中に何かしらに光を見いだそうとしているようでもあります。
清玄はセバスチャンに「悪魔はかつて天使だったと聞いたことがある」と言います。
聖書の物語にも神があまりに人を支配し過ぎることに対して不満を持った天使が追放されるというものがあります。
かつてのセバスチャンもそうだったのかもしれません。
今は悪魔であるセバスチャンの中にも、人の中に光を見いだそうとする天使の欠片があるのかもしれません。

清玄とセバスチャンの関係というのはもっと濃厚に描いても良かったかな。
男性と女性の間である清玄。
悪魔の要素と天使の欠片を持つセバスチャン。
人間と悪魔、主人と使用人、女と男(もしくは男と男)。
けっこう耽美な世界にしたらおもしろかったかも。
剛力さんの事務所は許してくれなさそうだけど(笑)。

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コメント

みぃみさん、こんにちは!

水嶋ヒロさんの佇まいはセバスチャンの役柄にぴったりでした。
彼が清玄を見つめる目線は、家畜が肥え太るのを待っているということなのか、それとも共感を持てるパートナーへの眼差しなのか。
セバスチャンの本音がどこにあるのか、と知りたくなりますね。

投稿: はらやん | 2014年2月 9日 (日) 16時38分

Nakajiさん、こんにちは!

そうですね、尺の都合もあるからということなのかもしれないですけれど。
もう少しゴシック的というか、耽美的でも良かったかなと。
それだと大人向けになっちゃうかな・・・。

投稿: はらやん | 2014年2月 8日 (土) 14時11分

こんにちは。

正義の名のもとに、天使の方が残酷な事あったよな~
と、セバスチャンの最後の行動に思いました。
でもでも、ほんとうのラストの台詞には、
汚れた魂にちょっとしたスパイスを加えて
より極上な味にするための行動だったのかな?とも。
水嶋ヒロ君の華麗に強くて考えの読めない悪魔が、
これら不思議な余韻を与えてくれました。

悪魔と彼女、交わした契約から
どういう道程をたどるのか
続きを観てみたいと思った作品です。

投稿: みぃみ | 2014年2月 6日 (木) 10時51分

こんにちは。

>清玄とセバスチャンの関係というのはもっと濃厚に描いても良かったかな

これ本当に思いました。
原作をしらないからより一層よくわからんって思ってしまいました。

投稿: Nakaji | 2014年2月 4日 (火) 10時56分

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