「黒執事」 天使の欠片
人気コミックの映画化作品ですが、原作は未見です。
ですので作品に関しての知識は事前に一切なく、観賞しました。
近未来の某都市で連続の怪死事件が発生、それを闇の貴族、幻峰清玄とその執事セバスチャンがその事件の解決に挑みます。
セバスチャンは実は悪魔で、清玄と魂の契約をしています。
清玄は両親の敵へ復讐の成就を願い悪魔と契約、セバスチャンは清玄の願いが叶ってその魂を喰らうまで彼に仕えるということとなったのです。
怪死事件とその背景が解き明かされていくというのが、物語の主軸となりますが、観ていると「なんで事件の首謀者はわざわざこんなに複雑な事件にするのかしらん?」と思ったりして。
ま、一般的にミステリーというのはそういうところがあるから、まあいいか。
もうちょいおもしろくできそうな感じはしましたけれどね。
興味深かったのは設定ですね。
セバスチャンは悪魔であり、人の魂を喰らう。
彼が好むのはより汚れ黒くなった人の魂。
だからこそ清玄が復讐を成し遂げようとするのを手伝い、それにより彼(彼女か)の魂が汚れていくことを望むのです。
自分が食べる生き物を肥え太らせようとする感覚に近いかもしれません。
彼の目線は人を超越しているもので、人間を極めて客観的に捉えています。
人は基本的に利己主義であり、自分のためには他人を蹴落とす。
元々そのように汚れた魂を持っているのが人間であると。
そして多くの人は自らが汚れた魂を持っているということの自覚がない。
清玄は復讐のために自らの魂が堕ちることを厭いません。
しかし彼は自分の魂が汚れることに自覚的です。
それゆえか、逆説的に彼の魂は汚れない。
自らの命、魂はいずれ果て、悪魔に喰らわれるという覚悟があるからか、自分を犠牲にし他者を守る。
魂が汚れるというのは、他者を犠牲にして自分を守るということ。
清玄には(自分は必ず地獄に堕ちるから)自分を守る必要がない、ゆえに自らを犠牲にすることは厭わない。
汚れること恐れないから、清い。
セバスチャンは人間を汚れた生き物だと見下していますが、その視線の中には人の中に何かしらに光を見いだそうとしているようでもあります。
清玄はセバスチャンに「悪魔はかつて天使だったと聞いたことがある」と言います。
聖書の物語にも神があまりに人を支配し過ぎることに対して不満を持った天使が追放されるというものがあります。
かつてのセバスチャンもそうだったのかもしれません。
今は悪魔であるセバスチャンの中にも、人の中に光を見いだそうとする天使の欠片があるのかもしれません。
清玄とセバスチャンの関係というのはもっと濃厚に描いても良かったかな。
男性と女性の間である清玄。
悪魔の要素と天使の欠片を持つセバスチャン。
人間と悪魔、主人と使用人、女と男(もしくは男と男)。
けっこう耽美な世界にしたらおもしろかったかも。
剛力さんの事務所は許してくれなさそうだけど(笑)。
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“あくま”で、執事…
詳細レビューはφ(.. )
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» 映画『黒執事』★“水嶋ヒロの執事”が懐かしくて(*^_^*) [**☆(yutake☆イヴのモノローグ)☆**]
作品について http://cinema.pia.co.jp/title/161727/
↑ あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。
注)原作とは、ほぼ、別モノです。
感想は、種々あるかと思います。(もうちょっとナントカ …etc, 汗)
▼〜▼ ノーガキとなっております。
..... [続きを読む]
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» 黒執事 [あーうぃ だにぇっと]
黒執事@よみうりホール [続きを読む]
受信: 2014年2月 1日 (土) 20時49分
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『黒執事』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。
(1)『BECK』で見た水嶋ヒロが3年ぶりに映画復帰した作品ということでもあり、映画館に行ってきました。
本作の冒頭では、2020年の世界は西と東に分断されていて、西側諸国は女王が支配し、世界統一を図るべく、対立する東...... [続きを読む]
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人気の原作コミックというのは読んだことありませんが評判になっていたのだけは知ってました。内容については全く知らなかったのでこの映画の予告編を観てアクションドラマなの? ... [続きを読む]
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JUGEMテーマ:映画館で観た映画
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「あくまで、執事ですから」が決めセリフのセバスチャンが実写化されるなんて、黒執事は大人気ですね。
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残念なことは、若槻華恵がセバスチャンの正体を知っていたのにも関わらず
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幻蜂清玄の手助けをしていたこと。
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まあ、セバスチャンとリンの闘っているシーンが
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楽しめたので、見てよかった映画かな。
&am... [続きを読む]
受信: 2014年2月 2日 (日) 00時51分
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□作品オフィシャルサイト 「黒執事」□監督 大谷健太郎・さとうけいいち□脚本 黒岩 勉□原作 枢 やな□キャスト 水嶋ヒロ、剛力彩芽、優香、山本美月、大野拓朗■鑑賞日 1月25日(土)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)
<...... [続きを読む]
受信: 2014年2月 5日 (水) 08時49分
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平成26年1月28日(火)。 映画:「黒執事」。 監 督:大谷健太郎・さとうけいいち アクション監督:大内貴仁 脚 本:黒岩勉 原 作:枢やな 音 楽:松浦晃久 キャスト: セバスチャン・ミカエリス:水嶋ヒロ 幻蜂汐瑠(幻蜂清玄):剛力彩芽 …... [続きを読む]
受信: 2014年2月 6日 (木) 10時07分
» 黒執事 [単館系]
黒執事 TOHOシネマズ渋谷 1/18公開
女性だということを秘密にしている幻蜂家当主の幻蜂清玄伯爵(剛力彩芽)と
執事のセバスチャン(水嶋ヒロ)は、絶対的な主従関係にあった。
一方、二人は世界統一を目標にする女王の諜報(ちょうほう)員「女王の番犬」
という役割も担っていた。
ある日、女王から連続殺人事件を解決せよという命が下る。
また、並行して少女たちが街から消えるという出...... [続きを読む]
受信: 2014年2月 6日 (木) 22時39分
» 黒執事 [愛猫レオンとシネマな毎日]
人気コミックの実写映画化になります。
ストーリーは、原作をベースにしたオリジナルものになってます。
注目は、3年ぶりにスクリーンに戻ってきた水嶋ヒロさんでしょう。
それも彼にピッタリの役柄、悪魔にして完全無欠のイケメン執事として・・・
美しく、妖艶、身のこなしは、あくまでスマート。
水嶋さんのアクションシーンは、華麗かつキレキレ!
そんな水嶋さんを見れただけで、チケット代の元は取れたと思う。
映画的には大絶賛とはいかないけど、水嶋さんを応援してあげたいし、
ほら、この作品で勝ちたいって言って... [続きを読む]
受信: 2014年2月12日 (水) 20時46分
» 映画『黒執事』を観て [kintyres Diary 新館]
14-11.黒執事■配給:ワーナー・ブラザース■製作年、国:2014年、日本■上映時間:119分■料金:1,800円■観賞日:1月26日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)
□監督:大谷健太郎、さとうけいいち◆剛力彩芽◆水嶋ヒロ◆優香◆山本美月◆岸谷五朗◆伊武雅刀◆城田...... [続きを読む]
受信: 2014年2月24日 (月) 22時45分
» 黒執事 [だらだら無気力ブログ!]
めんこいわ〜、山本美月。 [続きを読む]
受信: 2014年2月25日 (火) 00時17分
» 黒執事 感想です。 [★ Shaberiba ]
「あくま(悪魔)で執事----!」な水嶋さんに痺れました!。 [続きを読む]
受信: 2014年3月20日 (木) 13時00分
» 映画「黒執事」レビュー(水嶋ヒロ、私は悪魔で執事でございます) [翼のインサイト競馬予想]
映画「黒執事」のブルーレイを見たのでレビュー記事(感想)を書いてみたいと思います。(ネタバ [続きを読む]
受信: 2014年6月13日 (金) 18時36分
» 黒執事 [いやいやえん]
イエス、マイロード。(なかった…)
世界観設定などを変更、女王の番犬・悪魔との契約など、基本的な部分と一部のキャラを残して映画オリジナルの世界を構築しています。そうなると当然「これは黒執事ではない」という意見が多くなると思います。私もそう思います。とはいえ、映画とは面白ければよいのです。
設定は映画MIXされすぎてて、全くの別物。原作主人公は少年ですが、この映画では男装の麗人設定で、そもそも英国な設定だったはずが一体ここはどこなの?という架空世界になっちゃっています。
あくまで執事(悪... [続きを読む]
受信: 2014年6月18日 (水) 09時32分
» 14-080「黒執事」(日本) [CINECHANが観た映画について]
人間とは、つくづく私を楽しませてくれる
世界が西側勢力と東側勢力に二分された近未来。
執事のセバスチャンが仕える主人は、東側の幻蜂伯爵家4代目当主にして巨大企業ファントム社の若き総帥、幻蜂清玄伯爵。しかし本当の名は、汐璃。両親の死後、男として生きる道を選んだ男装の令嬢だった。
その幻蜂家には、世界統一を目論む西の女王の密命を帯びて暗躍する“女王の番犬”という裏の顔があった。
そんな2人は女王からの指令に従い、大使館員ばかりが狙われた“連続ミイラ化怪死事件”の解決に乗り出すが...... [続きを読む]
受信: 2014年6月21日 (土) 01時27分
» 黒執事 [銀幕大帝α]
2013年
日本
119分
アクション/サスペンス/ファンタジー
劇場公開(2014/01/18)
監督:
大谷健太郎
さとうけいいち
原作:
枢やな『黒執事』
主題歌:
ガブリエル・アプリン『Through the ages』
出演:
水嶋ヒロ:セバスチャン・ミカエリス
剛力彩芽:幻蜂...... [続きを読む]
受信: 2014年6月21日 (土) 21時27分
» 黒執事 : ダメ邦画の典型的作品 [こんな映画観たよ!-あらすじと感想-]
サッカーワールドカップ、準決勝でブラジル負けちゃいましたね。それにしても、コロンビアのスニガ選手と家族の無事を祈らずにはいれません。では、本日紹介する作品はこちらに [続きを読む]
受信: 2014年7月11日 (金) 21時09分
コメント
みぃみさん、こんにちは!
水嶋ヒロさんの佇まいはセバスチャンの役柄にぴったりでした。
彼が清玄を見つめる目線は、家畜が肥え太るのを待っているということなのか、それとも共感を持てるパートナーへの眼差しなのか。
セバスチャンの本音がどこにあるのか、と知りたくなりますね。
投稿: はらやん | 2014年2月 9日 (日) 16時38分
Nakajiさん、こんにちは!
そうですね、尺の都合もあるからということなのかもしれないですけれど。
もう少しゴシック的というか、耽美的でも良かったかなと。
それだと大人向けになっちゃうかな・・・。
投稿: はらやん | 2014年2月 8日 (土) 14時11分
こんにちは。
正義の名のもとに、天使の方が残酷な事あったよな~
と、セバスチャンの最後の行動に思いました。
でもでも、ほんとうのラストの台詞には、
汚れた魂にちょっとしたスパイスを加えて
より極上な味にするための行動だったのかな?とも。
水嶋ヒロ君の華麗に強くて考えの読めない悪魔が、
これら不思議な余韻を与えてくれました。
悪魔と彼女、交わした契約から
どういう道程をたどるのか
続きを観てみたいと思った作品です。
投稿: みぃみ | 2014年2月 6日 (木) 10時51分
こんにちは。
>清玄とセバスチャンの関係というのはもっと濃厚に描いても良かったかな
これ本当に思いました。
原作をしらないからより一層よくわからんって思ってしまいました。
投稿: Nakaji | 2014年2月 4日 (火) 10時56分