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2014年1月 5日 (日)

「もらとりあむタマ子」 後ろめたいからこそ

タマ子(前田敦子さん)は始終不機嫌な表情である。
彼女は大学卒業後、就職もせず実家に入り、そこで食っちゃ寝の生活をしています。
炊事、洗濯、掃除などはすべて父親がやっていてタマ子は手伝うことがありません。
日々グータラな生活を送るタマ子に、父親は「いつから就職活動をするんだ?」と尋ねますが、タマ子は「その時が来たら動く!少なくとも今ではない!」と逆ギレをする。
そんなグータラなタマ子の様子を秋からはじまり、夏まで映画は描きます。
主人公はタマ子ではありますが、基本的にタマ子自身の心情が言葉で描かれることはありません。
彼女の気持ちは彼女の行動(といってもほぼ食ってマンガ読んでしかないですが)から想像するしかできないのです。
タマ子の行動で揺らぎのようなものが見えるのは二つくらい。
どうもタマ子は就職するのではなく、芸能界に憧れている様子。
この映画タマ子と父親の食事のシーンが多いのですが(というかこういうときしか二人の接点はないのだろう)、途中野菜しか食べていないシーンが続くところがあります。
また突然髪を切って、写真館で撮影してもらうことも。
これはオーディションでも出ようとしたのでしょうか。
でもいつしか食事は元の通りに戻り、髪も伸ばし始めたので、落ちたのだろうなあと想像できます。
あとは父親に再婚話が持ち上がっているところ。
タマ子は動揺しているようですが、思いのほか離婚した母親も姉も冷静だったりしています。
相手の人を調べますが、わりといい人で何もタマ子から反対することもできません。
タマ子が家を出たらおそらく父親はこの人と結婚するのでしょうね。
父親から観たら、タマ子は何を考えているのかわからない子なのでしょう。
でも現実的には親から観て子供って何を考えているのかわからないものなのかもしれません。
自分も正月に実家に帰っても、特別何か話をするということもないのですよね。
生活スタイルも違うし、互いに共通の話題ってあまりない。
親が期待するような生き方をしているわけでもないので、何かしら子供的には後ろめたいようなもの、遠慮のようなものもある。
自分はいい年でまだ独身だったりするので、これは後ろめたい。
でも自分がどうこうで解決するようなものでもなかったりするわけで。
このあたりタマ子も就職できないということに後ろめたさのようなものを感じていると思うんですよね。後ろめたいことに触れられても困る、しかし気を使われて話題に出さないことにも気づいちゃうから、何か不機嫌になってします。
だからタマ子のように「うん」とか「うー」とかって感じの返事になっちゃう。
この微妙な感じ、わからない人にはわからないだろうなあ。

タマ子が読んでいたマンガ「天然コケッコー」でしたね。
山下監督の繋がりかな?

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コメント

映画好きパパさん、こんにちは!

実際の生活ではドラマティックなことはそうそう起こらないですよね。
それでも家族の間ではいろいろ思いはあって、でもなかなかそれをあまりうまくだせない。
うー、とかあーとかって不器用な感じのタマ子がリアリティありましよね。

投稿: はらやん | 2014年2月 1日 (土) 11時18分

こんにちは。何も起きなくて淡々と描きながら
タマ子の気持ちがよく伝わってきました。
前田敦子の好演とともに、説明が多すぎる
ドラマや最近の映画へのアンチテーゼにも
なっている良作だと思いました。

投稿: 映画好きパパ | 2014年1月31日 (金) 10時29分

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