「眠りの森」 人は嘘を吐く
阿部寛さんが主人公加賀恭一郎を演じる人気ドラマシリーズ「新参者」のスペシャルドラマです。
テレビシリーズに続いて、スペシャルドラマ「赤い指」、そして映画「麒麟の翼」に続く新作ですが、物語の中の時系列では一番最初でまだ加賀が捜査一課に時の物語です。
冒頭、阿部寛さんと仲間由紀恵さんのツーショットで始まったので、一瞬「TRICK」か?と思いましたが、仲間さんはただのお見合い相手役でした。
しかし、あとで調べてみると役名は「山田」でした。
明らかに狙ってますよね(笑)。
テレビ局を越えたコラボでした。
さて本題です。
東野圭吾さんのミステリーは謎そのもののトリックがおもしろいというのもあるのですが、やはり物語に登場する人々の気持ち、情というのを丁寧に描いているのがよいのですね。
東野さんの作品を映画化、ドラマ化しているものもそのあたりを大切にしているものが多いので、出来がいいものが多いです。
「新参者」シリーズでは、「人は嘘を吐く」というキーワードが使われます。
けれどこれは自分自身を守るためというよりも、他の大切な人を守るために嘘を吐くということがこのシリーズでは多く描かれます。
嘘を吐くことは良くないことですが、それでも誰かを守るために嘘を吐く。
その嘘を加賀は人の気持ちに寄り添い解きほぐしていくのです。
本作で描かれる事件に関わる人々は、自分の一生を何かに捧げている、もしくは捧げたいと思っている人々です。
そのためには何かを犠牲にするいう覚悟を持って尚、一生を捧げる。
バレエであったり、美術であったり。
この事件で容疑者になった人々も一生をバレエに捧げている。
被疑者の筆頭である人物もそう。
この人は通常の小説だったりすると思い切り嫌みなタイプとして描かれてもおかしくはないのですけれど、この人は人々の期待も背負っているのもわかっていて、まさに自分をバレエに捧げている。
それだけの覚悟を感じるのです。
バレエ劇団の他のダンサーもそうですね。
しかし、他に登場する美術家志望の男性は二人とも同じように夢を追いかけていますが、どこかでそれを見失い始めているようにみえます。
二人ともその夢を失いそうになる中で、それぞれ女性にあることを求める。
それは純粋な想いなのかもしれないですれども、なにか手前勝手な感じも受けます。
特に最初に殺されてしまった男は。
彼は夢が破れそうになり、そして彼が目標とする人も死に向かっている。
それを知り、憧れる人の希望を叶えようと、一人の女性に接触するのです。
そこで彼は自分の願いだけをまくしたてます。
そこに相手への配慮はありません。
相手はすでに自分の中でけじめをつけ、一つ上のステージに上っているにも関わらず。
これを観ると男というのは思い出に生き、女は未来に生きるという感じを受けました。
女性の方が覚悟を決めると強いのですよね。
ミステリーとしてもよくできていて、加賀がある女性のことを「最後のピース」と読んでいましたが、その人の秘密が明らかになると、それまでの出来事がまさにジグゾーパズルが完成する時のようにピタリとはまる。
計算され尽くしたミステリーだなと思いました。
加賀恭一郎のシリーズは、時折こうやってスペシャル版が放送されるといいな。
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コメント
みすずさん、あけましておめでとうございます。
「新参者」のシリーズは見応えありますよね。
原作も続いていることですし、ドラマ化は期待したいですね。
阿部ちゃんもはまり役ですしねー。
さっそく「トリック」の劇場版観てきました。
仲間由紀恵さんと阿部寛さん迷コンビっぷりも健在で、こっちもシリーズ続いて欲しいんですけどね。
そうそう、今日はテレビでスペシャル版でした。
投稿: はらやん | 2014年1月12日 (日) 16時08分
あけましておめでとうございますー!
今年もよろしくお願いします♪
ドラマ観ましたー!
とっても良かったです。
見応えあって、好きです。
是非、ちょこちょこドラマ化して楽しませて貰えると嬉しいですよね^^
最初の仲間さんは笑いました^^
明後日から公開ですし、楽しみですねー!
投稿: みすず | 2014年1月 9日 (木) 23時23分