本 「ガール」
奥田英朗さんの作品で、昨年だったか映画化にもなりました。
本作は5編の短編集ですが、映画はそのうち4つのエピソードを取り上げてそれぞれの短編の主人公たちを友人という設定にして一つの物語にしています。
この作品は30代を過ぎた女性を描いています。
主人公はそれぞれ自分がやりたいこと仕事をバリバリとしながら過ごしてきた女性ですが、ふと30代になり気がついた時いろいろと不安な気持ちが起こってくる、そういった女性の心情を描いています。
「ヒロくん」の主人公聖子はやり手のキャリアウーマンで、結婚しているけれども子供なし。
親からは子供を作れとうるさいし、会社では昇進したのは良いけれども、年上のいうことを(女だとバカにして)聞かない部下もできた。
旦那のヒロくんはマイペースで会社勤めをしているが、実際は聖子のほうが給料もよく、ヒロくん本人は気にしていないものの聖子は世間体が気になる。
2作目の「マンション」はマンション購入に悩む独身OLを描きます。
マンションを買ってしまうと、それでもう独身がフィックスされてしまうのではないか、でも憧れの家ももっていみたいという想いに逡巡します。
3作目の「ガール」は映画でもメインになった話ですね。
バリバリと楽しく仕事をしている主人公と、その得意先の真面目なOL。
女らしくいるってことは働くことと両立できるのか、どうなのか。
4作目「ワーキング・マザー」は子育てと仕事の両立に悩むシングルマザーのお話。
これはけっこう悩ましく思っている方も多いでしょうね。
5作目「ひと回り」は、新入社員に一目惚れしてしまったお局チックなOLの話。
映画とは違ったビターな終わり方ですね。
本作は、等身大の女性の悩みが描かれいるので女性の共感も高いかもしれません。
ぶっちゃけ男性でもずっと独身だと周囲にいろいろ言われるわけで独身の女性と同じような悩み等も持っていたりするので、そのあたりは共感できましたよ、うん。
一度この作品を読むと映画の方はよくまとめてあるなと感じます。
「ガール」奥田英朗著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-276243-4
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