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2013年12月25日 (水)

「ウォールフラワー」 深い友達

昨日の「ブリングリング」に続き、偶然にもエマ・ワトソンの出演作を二日連続して観賞。
どちらの作品もティーンの青春をテーマにしていますが、非常に対照的であると感じました。
ティーンの頃というのは生活の場というのは基本的に家庭か学校しかなく、そのため日々の生活で学校の中での自分の立場、友達関係というのが、本人にとって重要なこととなります。
「ブリングリング」のマークにしても、本作の主人公チャーリーにしても、以前の学校では周囲に馴染めず、新たに通い始めた学校で新しい人間関係を築こうとしている点がとても似ています。
というよりティーンにとってこれは普遍的に非常に重要なことであるということなのでしょう。
「ブリングリング」の若者たちは比較的恵まれている環境で暮らしていて、日々の生活に対して大きな悩み事を持っているようには見えませんでした。
彼女たちは夜な夜なパーティに出かけ、そこで多くの「友達」と会話し、飲んで遊んでいました。
ただ実際のところ彼女たちの「友達関係」というのはそれほど強い関係性ではなく、事件が明らかになったとき、彼女たちの間にはお互いを気にするということはあまり感じられませんでした。
彼女たちはパリスのことを笑っていましたが、同じようにそれぞれ「自分好き」なのですね。
だから事件が公になった時は、自分のことが中心になってしまうわけです。
本作の主人公チャーリーは一時期精神的な病気になっていたため、それが良くなっても周囲に受け入れられるかを不安に思っていました。
チャーリーは自分のことに自信がない、「自分嫌い」な少年なのでしょう。
いわゆるスクールカーストでいったら一番下の方、おとなしくて影が薄くて目立たない男の子。
まさに壁の花(ウォールフラワー)なのです。
そんなふとしたきっかけでチャーリーと友人になる二人がパトリックとサム。
二人はチャーリーよりは社交的なように見えますが、また共に心に傷、負い目を持っていた少年少女でした。
パトリックは同性愛者であり、またサムは幼い頃に性的虐待を受けていた経験があるようです。
パトリックもサムも自分が周囲の人々とは違い、それを克服してきたわけで、だからこそ自分に対し深い負い目を感じてるチャーリーに優しく接するのでしょう。
チャーリーもやがて二人が胸の内に抱えている傷を知り、それでも彼らは前向きに生きていることを知ります。
二人(あと国語の先生)はチャーリーの良いところを見つけ、それこそが彼の魅力であると彼に教えるのです。
だからチャーリーも彼らが幸せに感じられるように行動しようと思います。
やがて一つの出来事がありパトリックとサムが卒業、チャーリーは彼らとの別れを経験し、かつての病気が再発してしまいます。
その中で彼が過去に経験した出来事も明らかにされます。
チャーリー病気が再発したことにより、もう以前のように友達はできないと思ったのではないでしょうか。
けれどパトリックとサムはチャーリーの傍らにやってきてくれました。
病気とか人は違うということは彼らには関係がない。
彼らは真にチャーリーの「友達」であったのです。
「ブリングリング」は「自分好き」同士の希薄な友達関係、本作は「自分が好きではない」同士の深い友達関係といった感じで対照的だなと感じました。
そうそう、とても好対照だと思った箇所がありました。
「ブリングリング」でエマ・ワトソンが演じたニッキーの母親は新興宗教っぽい教えを広める活動をしているようですが、その教えの一つが「付き合う人は選びなさい」ということ。
母親曰く付き合う人との関係性が自分の価値を作るということのようです。
本作ではチャーリーが「なんで人は間違った人と付き合うのだろう?」と問います。
「ブリングリング」の母親の言葉からは、自分に見合った相手を自分が取捨選択するという態度が伺えます。
これはすごく「自分のことは自分がよくわかっている(と思っている)」パーソナリティから出ている言葉のような気がします。
「ウォールフラワー」のチャーリーの問いは、自分では自分のことがよく見えていない、自分の価値が自分ではよくわからないということを表しているではないかと思います。
「付き合い」、人との関係性に関わるセリフがそれぞれの作品にあったわけですが、とても対照的ですよね。
エマ・ワトソンはそういう意味でそれぞれの作品を代表する役柄を演じていることになって、それがまた上手くはまっていたように思います。

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