「八重の桜」 敗れてなおたくましく生きる
書くのをさぼっていたら、もうオンエアが終わって2週間経ってしまいました。
2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」は視聴率は低迷したようでしたが、僕はけっこう楽しみに毎回観ていました。
主人公は新島八重。
放送前にこの人の名を聞いたときは、この人物をまったく知りませんでした。
この女性は会津藩の出身で会津戦争で女だてらに鉄砲を持ち戦い、その後同志社の創立者の新島襄の妻となりハンサムレディと呼ばれたという人らしい。
女性が幕末の戦いで鉄砲を持って戦うというなんて信じられないのでフィクションかと思ったら実在の人物だということで俄然興味が出て、放送を見ました。
NHK大河ドラマはこのところ戦国時代と幕末がローテーションになっていますね(昨年の「平清盛」は野心的に平安末期を描きましたが)。
僕は歴史は好きなのですが、特に幕末はおもしろい。
価値観が大きく変わる時代はダイナミックです。
最近の大河ドラマでも「篤姫」で薩摩藩と幕府側、「龍馬伝」で土佐藩等倒幕諸藩、本作で会津藩を描きました。
歴史の教科書では同じ出来事でも立場が違っていれば、違って見える、これが興味深い。
そういえば再来年の大河ドラマは吉田松陰ということで長州藩が舞台になりますね。
本作が幕末を題材にしながらもおもしろなと思ったのは、明治維新以降も描いていることです。
だいたいの幕末ものというのは明治維新がひとつのクライマックスで、そこまでの歴史のうねりというものを描くのが多い。
けれど歴史というのはゴールというものはなく、その後も続くわけです。
薩摩藩や長州藩など倒幕派からすれば維新を成し遂げたのはひとつのゴールであるので、彼らを描く物語が明治維新を結末にするのはわかることです。
しかし本作が描くのは会津の人々。
会津藩は、忠心でお上に仕えていたのにも関わらず逆賊の汚名を受け、国をかけた戦いに破れました。
しかし国は滅びたとて、そこにまだ生きる人々はいる。
彼らの物語は終わらない。
敗れてなおたくましく生きる人々の様子を本作は描きます。
このドラマを観ていて驚いたのは(というか自分が無知だったのですが)、明治維新後も多くの会津人が政府や民間で新しい時代の担い手であったということです。
新島八重は夫である新島襄を支え、同志社大学創設に力を尽くし、その兄の山本覚馬は京都においてさまざまな政策にアドバイスをしていました。
大山巌の妻となった捨松の名前は聞いたことがありましたが、彼女も会津人とは知りませんでした。
彼女の実家である山川家の当主山川浩は会津藩の家老職(捨松の兄)。
戦に破れた最中にあって、妹を米国に留学させる先見の明を持っていたのがすごい。
浩は維新後帝国陸軍軍人なり、その弟であり、捨松の兄の健次郎は東京帝国大学の教授となったということですから、彼らは新しい時代に文武で貢献したということになります。
彼らのこの逞しさにうたれました。
本作は国を焼かれ敗れた人々が、それでも新しい時代に自分たちの役割を見いだし生きていくたくましさを描きました。
これは大震災を経験し、それでも立ち上がろうとしている東北の人々へのメッセージという意味合いがあったのではないかと思いました。
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