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2013年12月14日 (土)

「仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦」 大人の物語、子供の物語

すっかり冬の恒例となった仮面ライダーのMOVIE大戦ですが、今年は「仮面ライダーウィザード」と「仮面ライダー鎧武」の組み合わせです。
世界観が大きく異なるこの2作品、どのようなコラボレーションとなりましたでしょうか。
今までも異なる世界観のライダーをくっつけるために、このシリーズは3部構成、もしくは5部構成といった構造をとってきました。
だいたい前回のライダー編が第1部、現役のライダー編の第2部で別のストーリーが進み、それが第3部でクロスオーバー(実は敵が共通だった)するというのが基本構造です(5部構成のものも考え方は同じ)。
本作は構造的にはシンプルに2部構成で、第1部がウィザード編、第2部が鎧武編となっています。

第1部のウィザード編が非常にできが良いんですよね。
MOVIE大戦の前作ライダー編は、テレビシリーズが完結してしまっているため番外編的な描かれ方をすることが多いですよね。
しかし今回のウィザード編は、テレビシリーズを最終回を受けたストレートな後日談となっていて、MOVIE大戦の一幕といったよりは独立した一編とみることができます。
最終回でコヨミを失い、代わりに残されたホープの指輪を手にし、旅立ったウィザード=操真晴人。
今回のウィザード編では大切な人を失った晴人の気持ちを丁寧に描きます。
晴人のコヨミに対する気持ちについてはテレビシリーズでは恋愛的なものであったかどうかは具体的には触れられないのですが、本作を観ると恋愛に極めて近しいものであることがわかります。
人々の希望を守るために戦ってきた晴人ですが、テレビシリーズの終盤でコヨミを失いそうになったときの必死さに恋愛感情に近しいものは感じました。
テレビシリーズのレビューで描いたように「ウィザード」という物語は非常にストイックさがあり、それは晴人というキャラクターにも表れていました。
彼は人々の希望を守るという使命感を持ち戦う。
しかしコヨミを守るための戦いは、一般的に人を守るということを越えた気持ちがあったのですね。
人々を絶望させファントムを生み出すサバトの儀式を生き残った晴人とコヨミ。
晴人はコヨミを守っていきますが、しかし晴人もコヨミという存在によって守られていた。
他の人間が死に自分が生き残った意味を、コヨミを守ることによって感じ、それによって生きる許されていたと晴人は感じていたのです。
その生きる意味を失った時の晴人の喪失感はいかに深かったことでしょう。
しかし、彼はその喪失感を受け止める深さがあるのです。
晴人のアンダーワールドが本作で描かれますが、そこはコヨミの存在で溢れていました。
彼にとってコヨミの存在がいかに大きかったかを伺わせます。
晴人がコヨミとの思い出の舞台で戦うシーンは思わず涙を誘われます(仮面ライダーで泣かされるとは)。
戦いが終わり、ホープの指輪は、晴人のアンダーワールドで今も思い出としてあるコヨミに渡されます。
コヨミが一番安心していられるのは晴人の心の中であったというのも泣かせます。
晴人というキャラクターは大切な人を失いながらも、それでも絶望せず、希望を見いだし生きていける。
苦しいことを乗り越えてきた「大人」を感じる男なのですよね。
「ウィザード」という作品が大人のライダーの風格を持っているのはそういう晴人のキャラクターによるところが大きいでしょう。

第2部の「鎧武編」に話を移しましょう。
フルーツ、鎧武者、多人数ライダーと序盤よりぶっとんだ設定で驚かせてくれる「鎧武」。
電車ライダー(「電王」)のときも驚きましたけどね、相変わらず挑戦的なのは「仮面ライダー」シリーズのいいところ。
個人的にはまだこの作品のポテンシャルを判断しかねているところですが、可能性は感じています。
今回の劇場版でも物語的なポテンシャルは伺えます。
現在のテレビシリーズの「鎧武」はまだ子供の喧嘩的な面が強く出ていますよね。
その前の作品「ウィザード」が上に書いたように大人の風格を持っていたので、より「鎧武」という作品が持つ「ガキっぽさ」というのが気になったりもします。
しかしこの「ガキっぽさ」というのは狙いなのではないかと。
アーマードライダーに変身できる戦極ドライバーとロックシードという大きな力を手に入れてしまった紘汰(=鎧武)たちビートライダーズ。
彼らはその力をそれぞれの勢力拡大に使います。
しかしインベスという怪人が街の人々を襲うのをみるにつれ、紘汰はその力を人々を守るために使おうとします。
劇場版では紘汰は戦国時代のような異世界を訪れ、そこで戦いの中で命を落とす人を目の当たりにします。
戦いとはただのゲームではなく、命をかけるものであるということを紘汰は認識し始めます。
おそらく「鎧武」という物語は、社会に出る前の子供たちが次第に現実というもの、社会というものの厳しさ、言わば大人の世界を次第に知り、成長していく過程を描こうとしているのではないでしょうか。
その中で真の意味での戦いとは何なのかということを見いだしていくのだと思います。
戒斗=バロンにしても、ビートライダーズの中では自分なりのポリシーを持っているように見えますが、まだまだガキの喧嘩の域をでているようには見えません。
紘汰や戒斗、光実(=龍玄)ら少年が成長していく様を追っていくのが「鎧武」という物語だと思います。
大人になる過程において、何かを失うこともあるかもしれません。
その中でどのように少年たちが成長していくのか。
そういう紘汰たちの前に晴人が現れるわけですが、やはりそこに大人と子供という差は感じられますね。
さきほど書いたように大切な人を失いながらも希望を失うことがなかった晴人というのは、紘汰らが成長したどり着く大人の姿なのかもしれません。
そういう意味でまったく毛色の違う「ウィザード」と「鎧武」がひとつの映画でいっしょに描かれたのは興味深いところでした。

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コメント

メビウスさん、こんばんは!

2部作で、それぞれのライダーの個性が出ていたエピソードだったと思います。
「ウィザード」は良かったですね〜。
映画はお祭り的な要素が多いライダーですが、あくまでテレビの延長線上でほんとの最終回という感じがしました。
「ウィザード」らしいストイックさであったと思います。
「鎧武」はこれまたこの作品らしい荒唐無稽さで、らしさが出ていたと思います。
ライダーロックシードをかぶったライダーは「進撃の巨人」的な身体バランスなのが笑ってしまいました。

投稿: はらやん | 2013年12月18日 (水) 20時22分

はらやんさんこんばんわ♪

坂本監督のような派手派手のMOVIE大戦も良いですけど、今回のような感動的なMOVIE大戦もまた良かったですね^^自分もウィザードの方には結構涙腺を刺激させられちゃいまして、晴人とコヨミの深い関係性を知ってるだけに、その2人の思い出が溢れた中で戦うシーンはかなり印象に残りました。

逆に鎧武の方はトンデモ世界の設定もあって、個人的には笑ってたトコの方が多かったかですね^^;懐かしい面々がこぞって戦国武将になってたのも可笑しかったですし、終盤でバロンたちがライダーロックシードで変身するシーンでは、こちらのお子様たちは大層騒いでおりましたよ(笑

投稿: メビウス | 2013年12月17日 (火) 21時43分

AnneMarieさん、こんばんは!

「鎧武」の変身シーンは初めて見たときはびっくりしました。
なんじゃこりゃーって感じで。
でも子供のほうがよほど柔軟ですよね。
ようやく最近は慣れましたが(笑)。
「753」はすごく久しぶり。
そこくるかーって感じで笑ってしまいました。

投稿: はらやん | 2013年12月16日 (月) 19時58分

私も昨日、子どもたちと一緒に観てきました。
ウィザードは、子どもにはむずかしいですよね。
私も晴人のアンダーワールドがコヨミだらけだったことでどれだけ大きな存在だったか。がわかりました。
実はTVの最後の方、見逃してしまっていたのでコヨミの存在は同志なのかと思ってました。けど、映画でそれは恋愛対象だったんだということがわかり余計にココロに来ました。
こういうの我が息子5歳にはまだわからないです。

一方、鎧武は大人からするとあの変身スタイルは笑いでしかないですが、子どもからするとめちゃ面白いみたいです。話も子ども向けでわかりやすいみたいです。
指輪集めはそれほどではなかったんですが、ロックシードは欲しがって大変です。

あと。
懐かしい人たちの登場もおもしろかったです。
「その命、神に返しなさい」とかあきこちゃん夫婦とか。

投稿: AnneMarie | 2013年12月15日 (日) 10時38分

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