「おしん」 今、なぜ映画化か?
今年は「あまちゃん」ブームということですが、かつてこれ以上に一大ムーブメントとなった朝の連続ドラマがありました。
それは本作のオリジナルとなる「おしん」。
NHKの朝の連続テレビ小説は通常半年の放送が多いですが、周年記念作品ということで1年間放送された作品です。
「おしん」はしんという女性の一代記で、小林綾子さんが少女時代を演じる第1部、田中裕子さんの青春期第2部、音羽信子さんの老年期第3部となっています。
本作は特に有名な少女時代の第1部を映画化したものになります。
オリジナルは橋田壽賀子さん脚本によるもので、いわばベタベタな日本人向けドラマなわけです。
そのベタな感じは、映画化作品となる本作でもしっかりと継承されていました。
ベタだと思いながら観ていても、時折ぐっとくるところがあるのはやはり自分もベタな日本人だからでしょうか。
エピソードはおしんの少女時代の有名なところを拾っています。
奉公先でお金を盗んだと思われて、家に追い返されるところ。
脱走した男に読み書きを教わるところ。
再び奉公にあがった先の娘にはじめは意地悪をされるも、次第に親友となっていくところ。
自分も母親の脇で横目でこのドラマを観てただけでしたが、意外とこのエピソードは覚えていて懐かしく観れました。
初めは意地悪をされて、やがて親友になるというのは、「おしん」だけに限らずよくあるベタな展開ではあるのですが、こういう直球勝負には意外とやられます。
どんでん返しとか、意外な展開というのは一切なくて、ベタベタなまま話は進みますが、これはこれで安心感のある展開。
劇場にいらっしゃった観客のみなさんはおそらく平均年齢50〜60代くらいだと考えられますが、安心して観ていただけるところでしょう。
オリジナルに出演していた泉ピン子さん、小林綾子さんも出演してましたね。
これは往年のファンへのサービスというところでしょうか。
本作でおしん役を演じていたのは濱田ここねちゃんという女の子。
オーディションで受かったということですが、前向きでがんばり屋な感じがよくでていたように思います。
割とオリジナルよりも笑顔が多い感じがしましたが、その笑顔がパッと晴れやかな感じで物語が陰気くさくなりそうなところを救っていたような気がします。
さてこの作品、なんで今映画化されたのでしょう?
今の日本の時代に云云かんぬんという言葉が聞こえてきそうですが、そういうことではないような気が。
どっちかというともっとビジネスライクなような気がします。
「おしん」のオリジナルはアジア各国ですごく人気だとか。
この物語は貧しく厳しい生活の中を耐え、そして学びながら、一人の女性が成功していく姿を描いています。
確かに「おしん」で描かれている物語は、アジアの新興国ではまさに今の出来事かもしれません。
だからこの物語が受け入れらているのでしょう。
そういったことを背景にして、制作者はこの映画の輸出を狙っているのではないかなと思ったりしました。

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「つれえごとなんかなんでもねえ。
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どだなこ...... [続きを読む]
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コメント
おしん役の濱田ここねちゃんの笑顔に救われる思いがしました。
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