本 「統計学が最強の学問である」
学校で習った勉強は社会にたっても役に立たない、と言われたりします。
確かに数学等でもサイン、コサインとかルートとか虚数とか、社会人になって使ったことなんて一度もない。
そんな数学の中でも、高校生時代、つかみ所なくて好きでなかった(というより嫌いだった)のが、「確率・統計」でした。
他の数学は理屈をわかってしまえば、綺麗にひとつの答えが出るというのが気持ちがよかったりもしたのですが、「確率・統計」というのは答えがでてももやもやした感じがしてどうも苦手でした。
しかし、この「確率・統計」、統計学というのが社会人になってから最も接することになる数学になるのですね。
大学生になり、工業デザインの分野を勉強しているときに卒論でやったのが、人のイメージを多変量解析で分析して、それを使ってグラフィックデザインを作るというもの。
ま、ぶっちゃけ多変量解析がなんであるかというのはぼんやりとしかわかっておらず(てへ)、先生にたくさんアドバイスをいただいて仕上げたものではあったんですけれどね。
そして社会人になってから、マーケティング分野に関わることになると、調査、そしてそのデータを統計による解析みたいなことにも触れるようになりました。
マーケティングは経験的なカンみたいなものも重要ですが、それだと当たり外れのリスクが大きい。
多変量解析やら、クラスター分析やらなにやらかにやらのデータ解析はそのリスクを少なくすることができます。
ある仮説を持った上で、データ解析をし、その仮説の確からしさを確認する。
仮説が裏付けられることもあれば、仮説とは違った意外な結果がでることもあります。
また僕が関わるデザインという分野は、非常に「好き嫌い」が現れる分野です。
センスというものは非常に重要なのですが、「センスのない」偉い人が決定権を持っているときが厄介です。
そういうときに好みというものを分析することは、「鶴の一声」に頼りすぎないということにもなります。
ただデータ偏重主義でもダメで、それだけだといわゆる「とんがったもの」は出てきません。
このあたりはバランス感覚を持っていなければなりません。
マーケティングに関わる人は、統計学の理論上の細かいところまで理解する必要はないとは思いますが、その使い方、イメージ等は理解していた方がよく、それを武器の一つとして使えるようにするということは重要だと思います。
本著は統計学をどうして使うべきかということをわかりやすく書いているので、この分野が苦手な方も読みやすいかと思います。
僕は、統計学の専門家でも様々な分野があり、その分野の方によって統計というものへの向き合い方が違うというのがとてもおもしろく読めました。
「統計学が最強の学問である」西内啓著 ダイヤモンド社 ソフトカバー ISBN978-4-478-02221-4
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