« 「R100」 わけわかんないことへのエクスキューズ | トップページ | 「おしん」 今、なぜ映画化か? »

2013年10月14日 (月)

「宇宙戦艦ヤマト2199」 文句なしのリメイク作品

劇場で先行公開され、テレビでは4月から9月の間オンエアされたアニメです。
日本人ならば知らぬものはいないと言ってもいいくらい有名な作品「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクです。
「宇宙戦艦ヤマト」については今までも続編やリメイクなどがアニメ、実写などで作られたことがありましたが、初めてオリジナルを観た時の興奮が甦ったかというとそこまでではありません。
やはり僕の世代となると「ヤマト」はビデオのない時代に再放送を食い入るように観ていたもので、その記憶が脳みそに深く深く刻み込まれているため、その理想へのハードルがとても高くなっているのですね。
しかし、本作「2199」は昔観たときの興奮が甦ったまさに王道のリメイク作品となっていると思いました。
おそらくスタッフも「ヤマト」世代であり、そのときの自分が好きだった部分を存分に再現しようとしていたのではないかと感じました。
「2199」はほぼオリジナルのストーリーラインを踏襲しています。
ガミラスに衛星爆弾で地球が破滅の危機を迎えている時に、イスカンダルよりコスモリバースシステム(旧作ではコスモクリーナー)を受けとりにくるよう使者が訪れ、そこにあったノウハウで宇宙戦艦ヤマトを建造し、遙かかなたのイスカンダルへ向かう。
本作ではオリジナルをとことん踏襲しているところと、かなり改変を加えているところとがあります。
オリジナルを意識的に踏襲しているところは音楽、そしてSE(効果音)ですね。
音楽はこれがなければ「ヤマト」ではないということで、やはり宮川泰さんの曲を使用しています。
この曲の入り方がほぼ旧作と同じような場面で入るんですよね。
このあたりの旧作品ファンの「ここは変えてくれるな」というお気に入りの場面のツボがスタッフがわかっているのだなと感心しました。
カットまでほとんど同じようなところがありますものね。
曲が足りないところは宮川泰さんのご子息である宮川彬良さんが作曲しています。
宮川彬良さんの曲である「ヤマト渦中へ」は今回ヤマトが危機の時に使われたBGMですが、けっこう好きな曲です。
SEなどもガミラス艦が進むときの「キュンキュンキューン」という音や、ショックカノンの「ギュルルル・・・」なんての音もそのまんまでした。
こういう細かいところに気をつかってくれるのはいいんですよね。
SEで新しいところでは、ヤマトが実弾を手法で撃った時、それがガミラス艦に当たる時金属的な「カンッ!!」って音がするんですよね。
このあたりはどちらかというと海戦ものの映画の影響を受けている感じで新鮮でした。
七色星団でのヤマトVSドメル艦隊の場面も宇宙戦というよりは海戦のイメージが強かったですよね。
このあたりは新解釈でカッコよかったです。
オリジナルから大きく変えているところは、古い作品のため設定が大らかで明らかに矛盾やおかしなところがあるところを整合性をとらせようとしているところですね。
そもそもヤマト一艦で巨大なガミラス帝国を滅ぼすのは無理があるということで、ガミラス帝国そのものにも反乱分子がいるということになっています。
そのあたりは肌の色が違う(青色じゃない)ガミラス人ということの矛盾にも理由をつけました。
ガミラス側だけでなく、地球側の一枚岩ではなく途中まではイズモ計画への賛同者の動き等があり、そのあたりはドラマとして複雑さを与えたと思います。
いわゆるアニメファン向けのキャラクターも何人か導入されていて、比較的硬派であった「ヤマト」がそういう方にも受け入れられるよう間口を広げた感も感じました。
個人的には冥王星海戦、七色星団での対決あたりが見応えあり、非常に満足でした。
最後のガミラス本星での「硫酸の海」「ビル型ミサイル」などは観たかったところですが、さすがに設定上突飛過ぎるということでオミットされたんでしょうね。
ここはちょっと残念。
作画レベルも非常に高かったのが満足度が高かったです。
キャラクターの作画はもちろんですが、メカ関係の作画が良かった。
おそらく3DCGを使っているとは思いますが、非常に上手い使い方だったと思います。
コスモファイターの戦いは航空戦、ヤマトとガミラス艦の戦いは海戦、をイメージしていて、SF映画の宇宙戦ではなくどちらかというと戦記映画の戦闘シーンを高度なコンピュータ技術で再現しようとしているように思いました。
非常に見応えがありました。
総合的に非常に満足度が高い作品に仕上がっていたと思います。

|

« 「R100」 わけわかんないことへのエクスキューズ | トップページ | 「おしん」 今、なぜ映画化か? »

コメント

NAOさん、こんばんは!

非常にうまくできているリメイク作品ですよね。
おっしゃるようにガミラス側もしっかりと描かれていたのが大人が観てもおもしろいと思えるところですよね。
その分、デスラーが全部背負っちゃった感はありますが。
そういえばデスラーの「ヤマトの諸君」ってセリフはなかったですね。
本作は音楽が魅力のひとつでした。
やはり宮川さんの音楽は刷り込まれていますから、これをちゃんと使ってくれたのが嬉しかったです。
使いどころもいいところでした。

ウェディングドレスは、みんなで作ったんですよ〜(たぶん)。

投稿: はらやん | 2013年10月14日 (月) 21時37分

お久しぶりです、はらやんさん☆

私も、もろ「ヤマト」世代なので、リメイク版
期待半分不安半分でしたが、今の時代に見合ったうまい
リメイクの仕方で、私も納得のいく作品だったように思いました

勧善懲悪な話でなく、ガミラスも地球も、それぞれいろんな人間関係があり、あと画像がすごくキレイだったのも良かったです。
水とか宇宙の美しさや機体の細かさも素晴らしかった。
音楽もちゃんとオリジナルを意識して使われてたのも良かったです。
TVで全話観ましたが、ブルーレイディスクに落として
リピートで今も観ています。しかも夫婦で(笑)

しかし、ウェディングドレスとか、ちゃんと船内にあったんや~^^;と、ツッコミどころもありましたが♪

投稿: NAO | 2013年10月14日 (月) 21時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「宇宙戦艦ヤマト2199」 文句なしのリメイク作品:

» 宇宙戦艦ヤマト2199/第七章 そして艦は行く [だらだら無気力ブログ!]
最後まで見応えある内容で面白かった。 [続きを読む]

受信: 2013年10月27日 (日) 00時13分

« 「R100」 わけわかんないことへのエクスキューズ | トップページ | 「おしん」 今、なぜ映画化か? »