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2013年9月21日 (土)

本 「とり残されて」

宮部みゆきさんの短編集です。
比較的初期の作品になりますね。
長編もおもしろいですが、短編は短いながらもキレ味があっていいですね。
宮部さんは幽霊や超能力など不可思議な現象を小説の題材に選ぶことが多いですが、単純に不可思議さを描くだけではなく、そこに情念というか、強い想いのようなものを絡ませて描きます。
人の想いというのは強ければ強いほど、ある種の怖さのようなものを孕んできますが、そういう怖さがこちらの短編集ではよく出ているように感じました。
この怖さって、洋物にあるような派手な怖さでもなく、いわゆるジャパニーズ・ホラーのような粘着質的な怖さというのでもないのです。
よくわからない不可思議な現象にちらりと人の情念の深さ、怖さのようなものが垣間見えるという感じでしょうか。
上手く表現できないですが。
タイトルにもなっている「とり残されて」、続く「おたすけぶち」あたりはけっこう読後感に「怖い」って印象がありました。
一番短い作品「囁く」も怖かったですね。
短いだけにキレ味が鋭い。
最後の「たった一人」は怖いというよりは、せつない作品でした。
それでも想いの深さという点では同じような香りがし、主人公の執着心は怖さにも転じうるとも感じました。

「とり残されて」宮部みゆき著 文藝春秋 文庫 ISBN4-16-754902-6

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