本 「神様のカルテ2」
夏川草介さんの人気小説「神様のカルテ」の続編です。
夏川さんは現役の医師でもありますが、医師で小説家というと海堂尊さんや久坂部羊さんなどが思い浮かびますね。
3人とも医療を題材にした作品を書いていますが、やはり医師をされていることもあるからか、それぞれの切り口で現代の医療の課題を描き出そうとしているように思います。
「神様のカルテ」は信州松本市の病院を舞台にしています。
一年365日患者を受け入れる病院で勤務する青年医師栗原一止が主人公です。
現代医療の課題として、救急搬送の受け入れ拒否というものがあります。
舞台となる病院は救急もできうる限り受ける方針ですが、それは医師たちの過酷な労働によって支えられています。
当直で勤務した後、その次の日も日勤で務める。
相当に過酷な現場です。
それでも患者は医師たちに、休むことなく人を救えと求めるのです。
それが仕事だから。
医師なのだから、自分のことを差し置いて患者を救えと。
人の命を扱う医師は聖職と言われますが、それでも一人の人間なのですよね。
それぞれに人としての人生を背負っていて、喜びもあれば、悩みもある。
けれど患者は「医師」という役割で見てしまうため、そういうことに気づかない。
気づく余裕がないわけですね。
肉体的にもきつい仕事だと思いますけれど、それ以上に精神的な過酷さがあるのだと改めて思いました。
こういった問題を一発で解決できる魔法のような方法はすぐには見つからないかもしれません。
そういった方法が見つかるまでは、現場のお医者さんたちの力にすがるしかありません。
だからこそ、病院に行ったときは、お医者さんたちへの感謝の気持ちは忘れてはいけないのだと思いました。
行きつけのお医者さんが言うには、最近は自分勝手な患者(モンスター・ペイシェント)が増えてきている感じがするとのこと。
困ったものです。
「神様のカルテ2」夏川草介著 小学館 文庫 ISBN978-4-09-408786-4
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