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2013年8月 4日 (日)

本 「碧空のカノン -航空自衛隊航空中央音楽隊ノート-」

福田和代さんの作品は今までは「迎撃せよ」と「TOKYO BLACKOUT」を読んだことがあります。
どちらもテクノサスペンスの作品になるかと思いますが、このジャンルは女性が書くのは珍しいですよね。
読んでみても文章は女性っぽくない印象がありました。
女性の作家さんで自衛隊を題材にというと有川浩さんが思い浮かびますが、ライトノベル風な有川さんと比べると本格テクノサスペンスな感じがありました。
こちら「碧空のカノン」ですが、やはり自衛隊を題材として扱っているのですが、そこでスポットが当たるのが航空自衛隊航空音楽隊です。
各種の国家式典や自衛隊の行事での吹奏をしたり、また市民への広報活動としてコンサート等をやっている部隊だということです。
なかなか普段知らない部隊のお話なので、なるほどこういうこともあるのかというトリビアはありますね。
音大を出た学生はなかなか就職に苦労するようで、その中でも音楽を生業として働ける自衛隊の音楽隊はけっこういい就職先なのだとか。
もちろん自衛隊員ですので、音楽だけをやっていればいいということはなく訓練はありますけれども。
でも音楽ならではということもあり、震災の被災地では避難先に慰問で演奏を行ったということです。
そのときも最初の頃は被災者を癒すような静かな楽器での演奏をして、そのうちに編成を大きくして元気が出るような曲をやったりとかしたそうです。
そういったトリビア的なところはおもしろく読めました。
ただ全体的に今までの福田さんの作風とはかなり違うような感じがするのですよね。
どちらかというとライノベ的というか、有川浩さんの影響を受けているような感じがしました(これは本人の意向なのか、編集者のものなのかわからないですけれども)。
本作はいくつかのエピソードが集められたものですが、それらの多くはミステリー仕立てになっています。
ただそのミステリーの仕掛けもやや無理があったり、すっきりしない感じもあり、ミステリーとしてもまとめきれていない感じがしました。
どうも得意じゃない方向に手を伸ばしているような印象があるのです。
福田さんは最初に書いたように本格なテクノサスペンスが書ける方だと思うので、そっちのほうで勝負してほしいなと思いました。

「碧空のカノン -航空自衛隊航空中央音楽隊ノート-」福田和代著 光文社 ソフトカバー ISBN978-4-334-92870-4

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