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2013年7月15日 (月)

本 「食堂かたつむり」

柴咲コウさんの主演で以前に映画化された「食堂かたつむり」、その原作小説を読みました。
主人公倫子は、恋人に去られるというショックな出来事を経験し、声を失ってしまいます。
失意の中、倫子は故郷に帰り、小さな食堂を始めました。
1日に1組しか受け入れない小さな食堂ですが、その料理を食べると願いがかなうという噂が広まり、多くの人がやってくることになります。
映画もそうでしたが、小説もファンタジーな風合いを持つ作品になっています。
大きく違うのは、視点でしょう。
映画は倫子がしゃべれないということもあり、描き方は客観視点が基本でした。
倫子の内面の思いは言葉がないため直接的には観客には伝わらず、その表情、仕草、そして作る料理によって感じられます。
小説は逆に倫子の主観で物語が進みます。
彼女は出会った人々、そして出来事にいろいろな思いを感じ、それを料理で表現していきます。
言葉を発せずとも、彼女の中にある感情は豊かで、そして繊細であるということが伝わってきます。
彼女は多感で共感性が高い人で、だからこそお客さんの思いを察し、その思いを解きほぐすような料理を作っていくことができます。
その料理によって、人々は心を開き、素直になることができる。
素直になるからこそ、前向きに行動することができるようになり、そして願いを叶えらえれることができたのでしょう。
でもそんな共感性の高い倫子でも、その心がわからない人がいました。
母親のルリコです。
倫子はルリコとは子供の頃より折り合いが悪く、そのため家を飛び出したのでした。
故郷に帰り、ルリコと暮らすようになりましたが、やはり倫子は母親のことは苦手でした。
しかし映画と同様に、終盤ルリコの本当の気持ちが倫子に伝えられます。
ルリコは意地悪な母親ではなく、恋に純粋で、そして倫子にも愛情を深くもっていた女性でした。
その気持ちが伝わった倫子は、母親のために最後の料理を作ります。
彼女の母親に対する愛情をたっぷりと注ぎ込んだ料理を。
倫子は母親の最後まで言葉を発せられず、それを悔やみますが、けれどその料理によってルリコには十分に気持ちは伝わったと思います。
そして、また母親の気持ちも彼女の化身のような山鳩を倫子が食すことにより、その体の中に息づいていくのです。

映画「食堂かたつむり」の記事はこちら→

「食堂かたつむり」小川糸著 ポプラ社 文庫 ISBN978-4-591-11501-5

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映画・厨房で遭いましょう 堀江敏幸「イラクサの庭」 熊谷達也「相剋の森」 を思い出しながら読みました インド人の恋人に逃げられ 声を失い 祖母から受け継いだ糠床だけを持って故郷に帰った倫子 田舎の人々に助けられながら 食堂かたつむりをオープン お客は一日一組だけ ...... [続きを読む]

受信: 2013年7月17日 (水) 22時42分

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