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2013年7月 6日 (土)

本 「ブルーマーダー」

誉田哲也さんの「姫宮玲子」シリーズの最新作になります。
この前の「インビジブルレイン」は、それまでのシリーズよりも主人公姫川の人物像ににより深く掘り込んだ作品となっていました。
姫川は過去に暴行の被害にあっており、そのことが彼女の心の中には冷たい闇の感情を宿し続けています。
その炎はひとつ間違えば、まさに「復讐」という行為に繋がっていくような暗い感情ですが、それをつなぎ止めているのが、彼女が被害を受けた時に親身に世話をしてくれ、そして犯人逮捕の際に殉職してしまった女性刑事の存在でした。
ただその暗い感情はつなぎ止められているとはいえ、彼女の中に依然として救っており、皮肉にもそれが犯罪者への共感のようなものとなり、彼女の刑事としてのカンを支えるものとなっているのです。
姫川は善と悪との境界線上に危ういバランスを保っている人物だといえます。
「インビジブルレイン」ではそのバランスがもう一歩で崩れそうになるという姫川が描かれました。
本作ではタイトルにもなっている「ブルーマーダー」という謎の殺人者の存在が出てきます。
彼はある事件をきっかけとして善と悪との境界線を越えてしまいます。
というよりも境界線をないものとして行動し始めるといったほうがよいかもしれません。
善と悪との境界線というのは、倫理的なものというものはもちろんありますが、規定として明確にしているものは法律であったり社会制度だったりするわけです。
「ブルーマーダー」はそのような規定では正義を実行できないとして、その境界線を自ら無効としてしまうのです。
しかし「ブルーマーダー」という存在は一歩間違えると姫川がなってしまったかもしれない存在でもあるのですね。
だからこそその存在に姫川は肉薄できるのでしょう。

前作であまりにかわいそうな扱いであった菊田・・・。
彼と姫川の関係も本作でいったんはけりがついたということになるのでしょうか。

前作「インビジブルレイン」の記事はこちら→

「ブルーマーダー」誉田哲也著 光文社 ハードカバー ISBN978-4-334-92855-1

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» ブルーマーダー  誉田 哲也 [花ごよみ]
ブルーマーダー 「インビジブル・レイン」で 警視庁捜査一課を追われた、 姫川玲子。 姫川班解散後、 池袋署の強行犯捜査係長に。 この作者特有の、 いつもおなじみのグロさ。 あまりにきついので、 残忍なシーンはなるべく 思い浮かべない様にして読みました。 ...... [続きを読む]

受信: 2013年7月14日 (日) 00時07分

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