本 「幻想郵便局」
とても不思議な読みごこちの作品でした。
あの世とこの世の境目を舞台にした作品というのは、小説でも映画でもたくさんあります。
それこそ小説という表現形態が確立する以前から。
あの世というのは忌むべきものでもあったり、救いのある場所でもあったり、物語によってはいろいろですが、あの世とこの世の間には越えられない厳格な壁があります。
人というのは自分が死んだらどうなるかというのは心配ですし、また近しい人が亡くなった場合は死後どのようになっているのだろうかと気になるものです。
だからあの世を題材にした物語が多く作られるのでしょうね。
本作が不思議な読みごこちがあると書いたのは、そのあの世とこの世の境目にある領域、本作のタイトルにもなっている幻想郵便局の雰囲気がなんともいえず「ほあああん」としたのんびりとしたものであることなんですよね。
本作であの世の様子が描かれることはないのですが、あの世に行くということは、忌むべきところにいくというのではなく、また素晴らしいところに行くでもない感じがあるのです。
それこそ今までと変わりのない生活があの世でもおくられるのではないかという感じ。
あの世とこの世の間の境目がそれほど高くない感じ。
それだからか幻想郵便局には生きている人も訪れることがありますし、もちろん死んだ人も訪れる。
そのあたりのゆるさのようなものが「ほあああん」とした雰囲気に繋がっているのではないかなと。
あとがきで書いてあったのですが著者の堀川アサコさんは、死んだ人はそのまま消え去ってしまうのではないという想いがあるそうです。
その想いがこの作品にはとてもよく現れているような感じがしました。
「幻想郵便局」堀川アサコ著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-277429-1
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コメント
謎の三文字☆村石太さん、こんにちは!
ファンタジー的な要素もありつつも、生々しい事件などもあり、その塩梅がとても不思議な感じですね。
のんびりとしているだけという感じもありませんでした。
投稿: はらやん | 2013年5月19日 (日) 15時48分
のんびりで検索中です
幻想郵便局 かわった名前のタイトルですね。
死んだら なくなる~死んだ人の念というか~生きている人の死んだ人への思いかなぁ。
のんびり気分を 味わいたい時 読むと 効く本かなぁ?まだ 私は 読んでいません。
小説同好会(名前検討中
郵便局 民営化しましたね。国の国有財産が 株式になったのかなぁ?社長とか~
投稿: 謎の三文字☆村石太 | 2013年5月19日 (日) 14時31分