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2013年5月 3日 (金)

本 「ケルベロスの肖像」

海堂尊さんの「田口・白鳥」シリーズの完結篇と銘打たれているのが、本作です。
「チーム・バチスタの栄光」からはじまり、その他のスピンアウト的な作品群を生み出され「桜宮サーガ」とも言われた海堂さんの作品群もひとつの区切りとなったのでしょうか。
「田口・白鳥」シリーズは最初の「チーム・バチスタの栄光」こそ「このミステリーがすごい」で賞をとったので、ミステリー作品だと思われますが、その後の作品は必ずしもミステリーという分野には分類できません(「アリアドネの弾丸」はミステリーっぽかったですが)。
そういう点からすると、この作品群は既存の枠に囚われない新たなジャンルを作ったような感じもします。
「イノセント・ゲリラの祝祭」などは関係者の思惑が入り乱れ、そのやり取りのの中で緊迫感を生み出すと言う会議室サスペンスというような感じでしたからね。
本作「ケルベロスの肖像」はそういう意味では会議室サスペンス的な要素、ミステリー的な要素を含んでおり、やはりシリーズの集大成的な趣があります。
また「桜宮サーガ」のひとつである「ブラックペアン1988」や「螺鈿迷宮」などで描かれた物語についてもひとつの決着をさせているところで、「桜宮サーガ」の区切りとなっている作品と位置づけられると思います。
主人公である田口先生については、けっこう驚きではありましたが、なるほどという納得感もありました。
このシリーズで描かれる医療というものは、海堂さんの本職としての問題意識が現れていると思います。
その集大成として、本作ではAIセンターが作られますが、しかしそれも・・・。
理想はありつつも、現実は一気に進まないというもどかしさのようなものが現れているのでしょうか。
本作品により「桜宮サーガ」は一端の区切りとなるのでしょうが、まだまだ続く要素はありますよね。
白鳥や、高階が田口先生をそのまま放っておくとも思えませんし(笑)。
また新たなる展開が「桜宮サーガで起こるとことを期待したいと思います。

「ケルベロスの肖像」海堂尊著 宝島社 ハードカバー ISBN978-4-7966-9858-0

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