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2013年5月26日 (日)

本 「遺体 -震災、津波の果てに-」

映画「遺体 明日への十日間」の原作になった石井光太さんのルポルタージュです。
石井さんは震災直後より、石巻に入り、その後、遺体安置所に関わる人々を丁寧に取材し、こちらの本を上梓したそうです。
映画のほうは役者が演じているだけあって、登場人物の心情がわかりやすく直接的に響いてくる感じがありマシス。
本著はやはりルポルタージュですので、ある意味引いた目線で、震災直後の石巻の人々を描きます。
あえて引いた目線であるのは、そこに著者の感情をのせてしまうと止めどなくそれが出てしまうことを恐れたからかもしれません。
映画よりも、本著でより強く感じたことがあります。
石巻市は震災後の津波により沿岸部が壊滅的に破壊されました。
しかし、山側のほうの半分は津波の被害を免れているのですね。
そしてその津波を逃れられた人々が、同じ石巻市で被害に遭われた方や、その遺族たちのケアをしたわけです。
ほんのすぐ先の街は破壊され、たまたま自分たちは助かっている。
その心情とはどのようなものでしょうか。
本著で描かれる人々は、それぞれの立場で懸命に自分たちができることをします。
それはたまたま助かった自分たちが、同じ故郷の人々に何かできることをしたいという気持ちの表れだったのかもしれません。
被災した人々が、より被災した人々を救うという活動がこのときの石巻ではされていたのですね。
映画では時間やストーリーの関係上オミットされていた方々についても、本著では描かれています。
多くの人が、亡くなった人々に対し自分が何ができるのか、ということを考えて行動を起こしていたのですね。
ただただ頭が下がる思いです。

映画「遺体 明日への十日間」の記事はこちら→

「遺体 -震災、津波の果てに-」石井光太著 新潮社 ハードカバー ISBN978-4-10-305453-5

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