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2013年4月20日 (土)

本 「ひきこもれ -ひとりの時間をもつということ-」

吉本隆明さんの著作。
「ひきこもり」という言葉は、かなりネガティブなイメージがあります。
コミュニケート能力がない、社会との接点がない、何を考えているかわからない・・・。
なるべく人と交わるように、ひきこもっている人を社会へひっぱりだそうという取り組みもいくつかあります。
吉本さんは、「ひきこもり」の中でもほんとに病気の人は当然のことながら専門家に相談するべきと言っています。
ただ「ひきこもり」傾向がある人、どちらかというと孤独を好む人を社会と交わるようにいろいろとおせっかいをするのはいかがなものかということを言っています。
孤独を好む人というのは、黙々と自分がしたいことをやっている人が多く(例えば文章を書くなど)、そういうなかで技術を高め、また思索を行うことは悪いことではないだろうと。
生来孤独を好む人に無理矢理、その人が好む以上に社会と交わらなければいけないというのは、どうかということなのですね。
どちらかというと孤独を好むという点では自分もそういうところがあって。
あまり人と交わるような場に行くのは好きではないのです。
パーティとか合コンとか。
人見知りですしね。
かと言って家から一歩もでないということもなく。
毎日ちゃんと会社に行ってコミュニケートしてますし、ですので仕事で関わる人は僕がどちらかというと孤独を好むということを言うと、「何を上段言ってんの」というふうに言う方も多いんじゃないでしょうか。
休日もほとんど外出してますし。
吉本さんは孤独を好むけれども、寂しいという気持ちもあるので、そういうときは「銭湯」とか「祭り」に行くと書いてます。
これは非常によくわかったんですね。
大勢の人がいるのだけれど、そこで無理矢理コミュニケートする必要はない。
大勢の中にいながらも、孤独でもいられるって環境なのですね。
僕にとっては映画館などはそうなのかもしれません。
ひとりの時間をもつと、そこで自然といろいろと考えます。
こうやって文章を書きながら、考えたり。
こういう時間は大切にしたい。
無理矢理そういう時間を取られてしまうこと自体が、孤独を好む人からするとストレスなのですね。
また吉本さんは「社会を交わること」=「いいこと」という考えの偽善性みたいなものについても感じているようです。
この社会通念に皆が従わなければいけない=同質化ということへ吉本さんが感じる偽善性は、本著でも触れていますが、戦前・戦中・戦後を生きてきて社会の考え方がドラスティックに変化したことを目の当たりにしているからかもしれません。
「ひきこもり」=「悪いこと」ってほんとにそうなの?という吉本さんの社会通念に関する疑問提示の姿勢というのは、やはり社会が大きく変わったことを経験しているからこそなのかもしれません。

「ひきこもれ -ひとりの時間をもつということ-」吉本隆明著 大和書房 ハードカバー ISBN4-479-39095-2

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