ディズニーはピクサーを買収してから、映画の質があがったと思います。
形としてはディズニーがピクサーを買ったということになりますが、ピクサーの作品作りの姿勢が、ディズニー本体にも良い影響を与えているのでしょう。
具体的にはピクサー出身であるジョン・ラセターがピクサーとディズニー両方のチーフ・クリエイティブ・オフィサーになったということが大きいのかなと思います。
ラセターはピクサーで社員が自由に意見を言い、また妥協をせずクリエイティブの質を上げることを行ってきました。
そういう姿勢がディズニーにも浸透したのでしょう。
もともとディズニーはクリエイターの質は高く、それが自由に表に出てくるようになったということかもしれません。
本作「シュガー・ラッシュ」はクリエイターがイキイキと映画を作っているという感じが伝わってくる楽しい映画でした。
色彩豊かでポップでキュート、躍動感があって。
まさにアニメーションの持っている力の本質をストレートに出した作品だと思います。
「シュガー・ラッシュ」の題材になっているのは「テレビゲーム」。
タイトルの「シュガー・ラッシュ」とはこの映画オリジナルのお菓子の国のレースゲームのこと。
この映画では、人間が見えないところで、実はゲームに登場するキャラクターたちは生命を持って生きています。
ゲームの悪役のサークルなどがあって、悪役たちでお互いの悩みを語り合うなんてこともしています。
本作は「トイ・ストーリー」のゲーム版と言われることもありますが、それは人が見えないところで架空のキャラクターが実は生きているっていう共通点からくるのでしょう。
テレビゲームと言えば、僕はまさにその発展とともに成長したと言っていいかもしれません。
小学生の頃がちょうどインベーダーゲームブームでした。
中学生の頃は「ゼビウス」とかナムコのゲームをゲームセンターでやっていて。
その後、浪人生のときがドラクエでしたかね、ちょうどファミコンブームの頃だったと思います。
社会人になる頃は「ストリートファイター」などの対戦ゲームが流行ったときでした。
最近はあまりゲームをすることはなくなりましたが・・・。
けれど、この映画はなんともノスタルジックさみたいなものを感じたんですね。
やはりこれは「トイ・ストーリー」に感じた感覚と似ているかもしれません。
本作では日本人としてもお馴染みのキャラクターがカメオで登場しています。
「パックマン」のお化け(?)とか、「ストリートファイター」のベガとか、「マリオブラザーズ」のクッパとか・・・。
ザンギエフも出てましたが、悪役扱いじゃかわいそうだろ、と突っ込みたくなりました(笑)。
主人公ラルフが登場するゲームは「フィックス・イット・フェリックス」というオリジナルのゲームです。
これは30周年を迎えるいうことで昔ながらの8ビット感溢れるゲームだというところが、なんかノスタルジックです。
主人公がそもそもノスタルジックさを持っているというのは、やはり「トイ・ストーリー」のウッディと共通しているかもしれません。
「フィックス・イット・フェリックス」には「ドンキーコング」とか「クレイジークライマー」というゲームの影響が伺えますね。
「クレイジークライマー」は好きなゲームだったんですよね(今考えるとけっこうシュールな設定だけど)。
このゲームの住人たちは8ビット感溢れる動き方(向きを変えるときぴょこっとした動きをする)をしたりするのが、芸が細かい。
対して最新鋭の主観視点シューティングゲーム(これもオリジナル)「ヒーローズ・デューティ」なども絡んできていますが、これは「Doom」のようなイメージですが、登場するキャラクターは高精彩で動きもスムーズ。
この辺りの描写の違いも細かいです。
30年経つゲームのキャラクターと最新鋭のゲームのキャラクターの交流が起こるというところもウッディとバズの関係を想起させますね。
本作のストーリーは王道の形ではありますが、だからこそ見ていても安心感がありますし、予定調和とは言え、ハッピーエンドに終わるのも気持ちがいい。
かつてコドモだった大人から、子供まで楽しめる作品になっていたと思います。
観終わって「ああ、楽しかった」と素直に言える作品でした。
ゲームをしていたときのワクワク感、映画を観ているときのワクワク感、そういうのがとても良く出ていました。
この安定感、ディズニーはピクサーと同質化してきている感じがしますね(いい意味で)。

最近のコメント