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2013年3月23日 (土)

本 「未曾有と想定外 -東日本大震災に学ぶ-」

本著は「失敗学」で知られ、また「原発事故調査・検証委員会」委員長を務めた畑村洋太郎さんの著書です。
「未曾有」と「想定外」、この言葉は東日本大震災の時に多く聞かれました。
「未曾有」とは曾てなかったこと、「想定外」は予想していた範囲以上であったということですね。
今回の地震で東北から関東を襲った大津波ですが、これは「未曾有」でありません。
なかでも三陸海岸は歴史をひも解いても何度も大津波に襲われたことがわかっています。
畑村さんによれば、三陸海岸には山側にいくつか石碑があり、そこにはその地点まで津波が来た、ここより下には家を造るなと記されているそうです。
津波に襲われた当時の人は子孫に対し、そのような警告をしたわけですが、それは忘れられてしまい、沿岸部まで家が造られていきました。
畑村さんは人は利便性を求めるものだから家を便利なところに建てるということをやめることは難しいだろう、ただし津波はいつかはくるものなので、そういうリスクがあることを忘れずに暮らさなくてはいけないと言います。
「未曾有」という言葉が多く使われたということは、人が曾ての災害を忘れてしまっていたということの証左かもしれません。
原発事故については「想定外」という言葉が多く使われました。
特に使っていたのは電力会社や政府だと思います。
ではその「想定」とはどのようなものだったのか。
その「想定」は国の定めた安全管理基準なわけですね。
原発はできた頃から反対も多く、そのため原子力を推進する側は「絶対に安全」と言い、そのために国は安全管理基準を定めました。
しかしいつからか「安全管理基準を守っていれば安全」というようになってしまったのですね。
それが「想定」の範囲内なわけです。
しかし、自然の力は人間の力や想像力を遙かに越えます。
様々な研究結果(津波の危険性や断層の問題は指摘されていた)などが出てきた場合は、安全管理基準も合わせて上げていく必要があるわけです。
今回の原発事故は管理者側にとっては「想定外」だったのかもしれませんが、そもそもの「想定」自体が非常に甘いものであったと考えられます。
この本を読んで、こういったことは災害だけに限らないなと思いました。
何年か前に仕事で大きなトラブルが発生しました。
それは当時は「未曾有」であり「想定外」であったものでした。
そのトラブルに対しては関係者が力を尽くし対応し解決したわけですが、あとで考えてみると「未曾有」ではありましたが「想定外」ではなかったと思います。
そういうこともありうるという「想定」をしていなかっただけなのですね。
起ってしまえば、ここが課題だったとわかるわけです。
そういう経験も踏まえ、マニュアルやフローなどを整備し日々の業務を行っていますし、また新しいことを行うときは様々な側面から検討を行うというクセがついてきています。
そういう意味で「想定」の範囲を広げるようになってきました。
もしさらに「想定外」のことが起こっても、何を最重要と考えるかというガイドが現メンバーには危機感とともに共通認識としてあるので対処できるでしょう。
けれども、自分も含め異動をしたりしたときにそこに残されるのはマニュアルや手順書だけになってしまってはいけません。
今はトラブルを経験している者が多くいるため危機感や恐ろしさが残っていますが、その経験がない者が多くなるにつれ、形骸化していく可能性があります。
そういったときにトラブルが起これば、そのときの人にとっては「未曾有」の出来事になってしまうのです。
災害やトラブルはいつか必ずやってきて、それを「未曾有」の出来事にしないために、知恵や経験といったソフト的なものも継承していかなければならないと改めて思いました。

「未曾有と想定外 -東日本大震災に学ぶ-」畑村洋太郎著 講談社 新書 ISBN978-4-06-288117-3

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