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2013年2月13日 (水)

「特命戦隊ゴーバスターズ」 リアリティにこだわったが・・・

昨年はシリーズ第35作という節目の年で、ド派手な設定であった「海賊戦隊ゴーカイジャー」がスーパー戦隊シリーズとして放送されました。
「仮面ライダー」シリーズにおいては、平成仮面ライダー10作品目の「仮面ライダーディケイド」が試みたシリーズを横串で貫き、「スーパー戦隊シリーズ」をブランドとして確立しようとする狙いであったと思います。
その試みはうまくいき、「海賊戦隊ゴーカイジャー」はヒット作品となりました。
その後を継ぐ第36作品目が本作「特命戦隊ゴーバスターズ」です。
集大成的な作品の後の作品というのはなかなかに難しいと思います。
派手な設定であればあるほど、同じ方法で繰り返すわけにはいきません。
「仮面ライダー」シリーズでも「ディケイド」という「なんでもあり」の作品の後、ちょっと心配でしたが、その後の「W」では「二人で一人の仮面ライダー」というツイストのある設定を持ち出してきて、さらに「仮面ライダー」というシリーズの懐の深さを出し、その後も平成仮面ライダーシリーズは快進撃を続けています。
さてスーパー戦隊シリーズでは、ド派手な設定の「ゴーカイジャー」の後を継いだ「ゴーバスターズ」も前作と比べてツイストをかけています。
それはリアリティという方向でありました。
平成仮面ライダーシリーズと比べ、スーパー戦隊シリーズは対象年齢も低いということもあり、どちらかと言えばファンタジーの要素が強かったと思います。
これは戦隊そのもの、敵の設定とかをみればわかると思います。
「ゴーバスターズ」においてはそういったファンタジー的な要素よりもリアリティにこだわったように思います。
そのリアリティさというのは、たとえば戦隊のコスチュームデザインなどにも表れています。
「ゴーバスターズ」のコスチュームはまさに戦闘服ともいえる質感を持っていて、それまでの「タイツ」的なぴったり感というよりは、服というリアリティにこだわっていたことが感じます。
またロボについても、いままでの着ぐるみが動いているという印象より、よりメカっぽくまた、屋外での撮影も多くしたようで実際の太陽を感じるリアルさを狙っています。
それ以外にも、バンクを用いない変身シーン、等身大の戦い→巨大戦というパターンを守らなかったこと、リアルなアクションなどにもその狙いが表れています。
これらの試みは「ゴーカイジャー」と差をだすという点では出せているとは思います。
ただこのリアリティという方向性は、昭和仮面ライダーに対して平成仮面ライダー(特に最初の作品である「クウガ」)がやったことではあります。
荒唐無稽さからリアリティという方向を打ち出すことにより平成仮面ライダーは大人の観賞にも耐えられるようになったと思います。
ただこのリアリティさにこだわるというのは作品自体がこじんまりするということにも繋がります。
そこで現在の第二期と呼ばれる平成仮面ライダーシリーズでは「二人で一人の仮面ライダー」+「探偵」の「W」や、「学園もの」+「宇宙」の「フォーゼ」など、一瞬ぎょっとするような設定を持ち込み、それでいてシリーズ自体の幅を広げるという試みをしていて、これは成功していると思います。
それに対しスーパー戦隊シリーズというのはもともと荒唐無稽な設定であるものが多いのですね。
だからリアリティという方向を打ち出すと今までのシリーズの中でもどうも存在感が薄いというか、派手さのようなつかみがない。
「ゴーバスターズ」についてはスーパー戦隊シリーズがもつ荒唐無稽さ、勢いのようなものが失われたような気もしました。
お話についてても、二部になることはもともと予定されていたことがどうかわかりませんが、観ている側するとちょっと路線変更かなと思ったりもしました。
ストーリーとしてはヒロムの13年前の約束の守るというのが主軸になるはずですが、それは中盤にある種の決着がついてしまいました。
その後はでてくる敵をやっつけていくというシンプルな構成になったように思います。
リアリティさにこだわって物語もフォーマットではなく、柔軟さを持った構造にしたことにより、わかりにくくなったという判断があったのかもしれません。
また「水戸黄門」的なパターンもなくなったため、お約束からくるエクスタシーみたいなものがないというのもあったかもしれません。
試みとしてリアリティを目指したのはわかるのですが、終了してみるとどうも印象が薄い作品であったというのが正直なところでした。

次回の作品は「獣電戦隊キョウリュウジャー」。
スーパー戦隊シリーズの定番である恐竜モチーフ、またテイスト的にも派手な感じで、スーパー戦隊シリーズの王道のような感じがしますね。
千葉繁さんのナレーションのテンションも高そうですし、メインは坂本浩一監督ということで、派手な感じになりそう。

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