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2013年2月 2日 (土)

「ベルセルク 黄金時代篇III 降臨」 因縁の二人

ダーク・ファンタジーコミック「ベルセルク」の映画化シリーズの3作目です。
原作コミックは映画1作目の「覇王の卵」を観た後から読み始め、「ドルドレイ攻略」公開時にはコミックも同じくらいのところを読んでいて、本作「降臨」を観た現在は、ちょうどコミックでも「蝕」の場面を読んだところでした。
ですので、ガッツやグリフィス、キャスカに過酷な運命が訪れるのはわかっていたわけで、本作については観たいような観たくないような気持ちもありました。
原作ままに描くと相当にハードな内容になるとは思っていたので、ある程度柔らかくするかと思いもしましたが、映画のほうもしっかりとそのハードさを描いていましたね。
ここに「ベルセルク」の真髄があるとわかっているからでしょう。
基本的に本作はガッツ、グリフィス、キャスカに焦点を絞っており、コミックであったグリフィス救出のエピソードなどはバッサリと切っていましたね。
映画化するにあたっては適切な判断であったと思います。

前作「ドルドレイ攻略」のレビューにつけたタイトルは「喪失」でした。
グリフィスは唯一友と呼べるかもしれないガッツを失い、それで自暴自棄とも言える行動をとります。
その結果、彼はすべてを失ってしまいました。
そもそもグリフィスは、少年の頃から輝かしい場所を求め、それのためであればどんな犠牲をも厭わない男であったのでした。
人を惹き付ける魅力を持ち、そしてまた才覚に優れたグリフィスですから、その周囲には引きつけられるように人が集まってきましたが、彼自身はそれらの人々に対し心を許していなかったのかもしれません。
いずれにせよ、それらの人々を捨てる日がくることをグリフィスは予感していたのでしょう。
当初、ガッツに対してもグリフィスはそのように駒の一つとして扱ってきました。
しかしいつしかグリフィス自身がガッツという男に魅せられるようになったのかもしれません。
すべてを失ってしまったとき、グリフィスは何を考えていたのでしょうか。
自分では身動きができないまま、孤独な牢で。
すべてを犠牲にしても、輝かしい場所に登っていくつもりであった自分が、ガッツを失ったことにより揺れ動いた。
そのこと自体を後悔したのでしょうか。
そのことによりガッツを恨んだのでしょうか。
ガッツやキャスカに救出されたとき、グリフィスは何を考えたのでしょうか。
ガッツは己が失ってしまった健康な肉体を持っている。
そしてまた自分に対して憧れを持っていたキャスカ(おそらくそれはグリフィスも自覚していたことでしょう)の気持ちを手に入れたガッツ。
それを不自由な肉体を横たえたまま、怪しく光る目でグリフィスはどのように見ていたのでしょうか。
グリフィスの中では、ガッツに対しての妬みのような気持ちがあったのかもしれません。
自分が失ってしまったものを持っているガッツ。
そしてまたそのような妬みの心を持ってしまった自分自身にも戦慄したのかもしれません、あまりに誇り高いグリフィスという男は。
動けない体の中で妬みという業火に彼自身は焼かれるおもいだったのではないかと思います。
そんな自分自身を消し去ってしまいたいとも思ったと思いますが、すでに自分でどうすることもできないほどに彼の体は憔悴していたのです。
「蝕」の時が来て、ガッツが自分に触れようとしたとき、グリフィスは心の中で叫びます。
「俺に触れるな、お前に触れられたら、二度とお前を・・・」と。
グリフィスは自分の中にある最も人間らしい弱いところを消し去ってしまいたいと思ったのかもしれません。
そしてそのような気持ちにさせるすべてのものも。
己の心の弱いところにおののくくらいならば。
仲間も、人間らしい心も。
消してしまいたい、と。

グリフィスは再び屍を越えていく道を選びました。
その道は彼の求めた道であったのでしょうか。
すでにそういうことを考える気持ちすら彼は失ってしまったのでしょうか。
そしてガッツは。
彼もまたすべてを失いました。
友も、愛する人も、仲間も。
それを失わせたのは、その友自身です。
ガッツとグリフィスはまさに因縁の二人となりました。
彼らの運命は今後どのようになっていくのでしょうか・・・。

映画はしばらく作られないのかな?
この先はまずはコミックで追いかけていくことにしましょう。

「ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略」の記事はこちら→
「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」の記事はこちら→

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コメント

メビウスさん、こんばんは!

原作を読んだときは、これ映像化できるかなぁ、と思ったのですが、やりましたね。
ここは妥協をしちゃいけないという覚悟があったのでしょうね。
まさに真髄ですから。
今回はグリフィスにかなり焦点をあててきましたよね。
それでいながら彼自身が何を望んだのか、彼自身もわからなかったように感じました。
自分を内側から焼く焦燥感のようなものがひしひしと伝わってきました。
バーキラカ、黒犬騎士団のところは切ったのは正解だったと思います。
それによって焦点がはっきりしました。
この続きが気になるので、コミックの方をさらに読み進めたいと思います。

投稿: はらやん | 2013年2月 3日 (日) 20時22分

はらやんさんこんばんわ♪

『蝕』はベルセルクにおいていつも必ずどこかで出て来るキーワードであり、ガッツとグリフィスにとっても忘れ難き因縁の出来事・・正に真髄と言ってもいいくらいのものなので、そのハードな描写も漫画と遜色の無いほどパワーがありましたね。ちょっと前までは映像化不可能とも言われてたのに、ここまで徹底してるのには驚いてしまいました。
バーキラカや黒犬騎士団の戦いといったアクション要素を廃してるのは残念でもありましたが、代わりにグリフィスの心情を丁寧に描いてた点も良かったですね。再起不能な体となりながらも己の野望にまだ固執しているために苦悩し絶望する悲哀に満ちた姿、そしてガッツが自分の夢よりもいかに大きな存在だったか・・・『捧げる』という言葉も聞いた時、自分はちょっと涙腺脆くなってしまいました^^;

でも黄金時代篇の次はガッツの復讐の旅や新しい仲間が出て来る『断罪篇』が始まるのですが、あの尻切れトンボな終わり方を観ると次があるのかちょっと疑問ですね(それらしいメッセージは一応出ましたけど)。
二人の因縁もこれがようやく始まりですから、この際劇場版じゃなくても良いのでその先をまた映像で観てみたいものです♪

投稿: メビウス | 2013年2月 3日 (日) 20時07分

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